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Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.105 )
日時: 2009/12/30 16:29
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)

番外編 玲菜と香里との出会い
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 あたしが玲菜に会ったのは、小学三年生の頃だった。あたしは親の転勤で北海道から東京まで引っ越してきた。初めて東京の学校に行った時は緊張したが、その時に初めてあたしに話しかけてくれたのは玲菜だった。

「転校生? 名前は?」
「……橋本 杏江」
「杏江ちゃんかー。ウチは秋野 玲菜! 良かったら友達になってくれない?お願い……」
「うん、いいよ!」

 その時から、あたしは玲菜と一緒にいるようになった。あともう一人、島村 美衣という子とも仲がよく、いつも三人でいた。しかし、そんな日々にピリオドが打たれたのは、六年生の最後だった。

「杏江、玲菜、聞いて!」
「何? そんな悲しい顔して……」
「あたし、皆と同じ中学校に行けないの……」

 美衣は、泣きそうな顔だった。美衣の話によると、有名な国立の中学校に合格したらしい。

「でも、合格したのは凄いじゃん。胸を張ってその中学校に行きなよ! 合格おめでとう!」
「え?」

 玲菜はそう言って、美衣をなぐさめた。あたしはショックのあまり、何も言えなかった。……あの時の美衣に一体何が言えただろうか。
 そして、中学に入って、玲菜と同じクラスだったから、玲菜と喜んだ。そして、自己紹介で、香里の存在を知った。

「明日原 香里です。……いつかはこの世の危機から世界を救うのが夢です」

 初めはこの子、何言ってるんだろうって思った。しかし、そんな香里にも、玲菜は声をかけた。

「この世の危機……ね。香里ちゃんなら世界をきっと救えるよ! もしこの世の危機が起きたら、香里ちゃんとあたしと杏江で世界を救おう!」
「うん……」

 こうして、香里が仲間になった。この世の危機なんて、その頃は無いと思っていた。しかし、今、あたし達はこの世の危機に立ち向かっている。……あの頃、香里は人類滅亡を予測していたのか、それとも偶然なのかは分からない。
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