ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.110 )
- 日時: 2010/01/17 17:17
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第三十二話 正月
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「明けましておめでとうございます、リーダー」
「DARK GODの世界が幕を開ける年ですね。この2090年は」
「そうね。いよいよDARK GODの世界が作られるわ。あとは、あの人をここに呼ぶだけ……」
「そうですね」
私は人類滅亡リモコンを見た。
「このボタンを押せばこの世界は終わる……そして、私が次の世界の神になる……」
「実現すればどんなに嬉しいことでしょうね」
「そうね」
このリモコンは、ひいおじい様が私と同じ年の頃に部下に作らせた。ところが、自分達が生き残る方法が分からなかった。ところが、お父様が生きていた頃に方法が見つかった。そして、現在に至っている。この世界の終わりを見送る事が出来る……。
「世界が終わったら、皆さんどうするおつもり? 私は皆さんの為にもいい世界を作ろうとしているのでね……。勉強のない世界でもいいわ。人類滅亡までに考えておきなさい」
「はい、ありがとうございます、リーダー」
「その代わり、私に逆らったらクビよ。つまり、新しい世界が始まる前に皆さんはいなくなる……」
「分かっております、リーダー」
「それなら、いいわ」
私は微笑んだ。
「下がってもよろしいのよ。休憩してから仕事にとりかかりなさい」
「ありがとうございます、リーダー」
幹部達は、部屋を出た。
* *
……向こうで幹部が笑っている。
「リーダーも女神のように美しく、お優しい方で!」
「今日はようやく人口惑星Xが完成したからな。あとは生き残りカプセルのみだ」
リーダーのどこが女神なんだ。鬼のようにしか見えない。姿を見た事はないが。
「リーダーの服、洗濯できたか?」
他の雑用係がそう言う。僕より年上だ。
「はい、できました」
「なら、少し休めよ。幹部は機嫌いいからさ」
「ありがとうございます!」
久しぶりの休業だ。疲れた……。
「よう、調子はどうだ?」
見張りである城島さんがそう言う。正月だから機嫌がいいらしい。
「はい、順調です」
「ここへ来い」
……僕は何か悪い事をしたのだろうか。
「友一、疲れたか?」
「いいえ、疲れてなんかいません」
「本当の事を言え」
「……」
何を言っているんだろう、この人は。
「……まあ、いい知らせだ。昨年は反逆者の情報で騒いでただろ? 実はお前と同じ福岡出身の奴だ」
「本当ですか」
「奈央土って奴、知らねえか? 俺は闘った事があるが」
奈央土先輩……?
「城島、何やってんだ!」
「……しまった、幹部だ。おい、仕事しろよ!」
……先輩、僕は先輩を待っていました。早くここに来て下さい。僕はこんなに苦し.んでいます。
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