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Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.119 )
日時: 2010/03/21 12:14
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: kzK7vPH9)

第三十六話 冷たい目
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「へえ、治人って反逆者だったんだ」
「法律破ってるよね?最.低! しかも本名が奈央土だし!」

 クラスの中では俺の噂がされていた。

「おい、反逆者!」
「大変な事になったわね」

 俺が教室に入るとクラスの奴らが笑ってきた。

「奈央土君?」

 クラスのお嬢様的存在っぽい奴のレイチェルが俺に話しかけてきた。

「何だよ、お前」
「あら、私が有名な製薬会社PINK HEARTの社長の娘だって事を知らないのかしら。私に対してその口は失礼よ」

 それは誰もが知っている。だが、俺は金持ちで性格悪い女が嫌.いだ。好きにさせてくれ。

「いい? 私の手下になりなさい。手下になってくれたら貴方がここにいることをDARK GODに通報しないわ」

 手下だと? 馬..鹿らしい事を言うな。弱い者虐.めの仲間に入らなきゃいけねえのか? 本当の喧嘩もした事もないくせに。ちなみに、俺は学校一の喧嘩上等だ。

「悪いが、俺はお前の味方にはならねえ」
「何ですって? 皆さん、奈央土にかかってきなさい!」

 命令しかしてねえじゃねえか。そいつの事を「弱.い奴」と言うんだぜ。

「な……奈央土! どうするんだよ! 相手はお嬢様……」
「ノアは黙.れ!」

 レイチェルの手下っぽい奴が鉄パイプを持ってきた。

「ほら、さっさと!」
「分かりました、レイチェル様。反逆者をやっつけます」

 相手がかかって来た途端に俺は前の奴から倒していった。

「痛い!」
「痛え!」
「テメエらもいつまでレイチェルのロボットになってんだよ。喧嘩などした事ねえんだろ! ええ!」

 俺はすぐに最後の奴まで倒した。DARK GODの奴らとは比べ物にならない。

「レイチェル、どうするつもりだ?」
「お……覚えておきなさい! DARK GODに今すぐ通報するから!」

 レイチェルは携帯電話を取り出した。

「奈央土、どうするんだよ!」

 まずい、このままでは通報されてしまう!

「おい、お前……!」
「逆らった貴方が悪いのよ?」

 ところが。

「……反逆者の情報です。PINK HEARTという製薬会社がDARK GODを狙っているようです。お気を付け下さい」
「か……香里!」

 レイチェルは相当キレていた。

「貴方、どこに電話してたのよ!」
「DARK GOD本部よ。もうアンタは金持ちじゃなくなるわね。お姫様気分も終わりよ」
「さては貴方、奈央土の味方ね!」
「残念ね、奈央土にはウチもいるのよ」

 ……そういう事か。香里はPINK HEARTがDARK GODを狙っているように思わせたのだ。だから反逆罪でPINK HEARTは潰.される。
 昼休みになって、レイチェルの携帯電話が鳴った。

「もしもし……え、そんな!」

 レイチェルの顔が青くなった。

「香里!貴方のせいで……!」
「ふーん。まあ、せいぜい一文無しという事にして生きてちょうだい」
「香里!」

 後にニュースでやってたが、PINK HEARTの本工場でレイチェルの親.父がDARK GODにやられたようだ。会社員も犠牲になったらしい。……悪いが犠牲者の皆さん、俺がDARK GODを倒.す為にこうなったから、世界の為に犠牲になったって事にしてくれねえか? 少しは俺も罪.悪感を感じている。
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