ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.141 )
- 日時: 2009/12/21 11:18
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第四十三話 杏江が柚江で…。
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お姉ちゃんがいなくなってから、あたしは寂しく、しかも心が苦しくなった。
「おばあちゃんに電話しておくから、早く支度をしなさい——」
お母さんの声が、永遠に心に残っている……嫌だ、思い出したくないのに。でも……本当の杏江は、このあたし。警察署に行ったのはお姉ちゃんなんだ。
「間もなく、離陸します」
アナウンスが流れた。……ああ、とうとう、最後にジュディに会うことが出来なかった。もう飛行機の中だし、会うことは出来ないよね……。そして、飛行機はロスアンゼルスの空を飛んだ。——大丈夫、この空は世界中に広がっていてつながっているし、住んでいるのは同じ地球だから、お姉ちゃんや友達と分かれても一緒だ。この地球を四月十日が超えても残しておきたい……。
——そして、オハイオ州にやっと着いた。おばあちゃんの家を一生懸命に探す。
「……ここだ」
やっと見つけた。「HASHIMOTO」って書いてある表札がある。
「ばあちゃん!」
「あら、柚江。元気にしていたかね?」
「うん」
「しかし、桃さんも、よくやってくれるわね。柚江を追い出すなんて」
……桃というのは、お母さんの名前だ。その名前の「もも」をとって、あたしの名前は杏江となった。でも、今はお姉ちゃんとあたしは入れ替わっている。
「ばあちゃん、大丈夫、杏江は帰ってくるから。もし杏江が心配なら、あたしが連れ戻してくる!」
そうだ、お姉ちゃんを助けなきゃいけないんだ。だからお姉ちゃんは犠牲になってくれた。
「でも、柚江が酷い目に遭ったら、ばあちゃんは……」
「大丈夫、修行の成果は出るから!」
お姉ちゃんが修行をしていたことは知っている。あたしも元々は空手をやってたから、今からはその本当の成果を出す時だ。
「でも、今は休ませて」
あたしがそう言うと、おばあちゃんはベッドの掛け布団を用意してくれた。……お姉ちゃんはこんな気持ちいいベッドで寝ていたんだな。
「今日はもう休みなさいね、柚江」
明日からおじいちゃんに修行教えてもらおう。
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