ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.154 )
- 日時: 2009/12/26 11:25
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第四十四話 リモコン現る
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「友一って奴、気弱な奴だからもしお前が生きていたら優しくしてやれよ。あいつ、お前のことが気になっていたっぽいからさ」
「そんな訳ないわよ」
赤峰という男はよくあたしをからかう。
「ところで、お前……」
「何なの」
「杏江じゃねえだろ」
え……? 何でそれを知っているの?
「な、何言ってるのよ、杏江よ」
「相手が神ではない限り俺を騙.すことは不可能だ。俺に騙.される奴は.死..ぬほどいるが」
あたしは、バレてしまったので肩が震えている。
「おい、着いたぞ、リーダーの部屋の前」
「……一人で行くわ」
「強がりなんだな」
「そうかもしれない」
あたしはリーダーの部屋の前の重い扉を開けた。……向こうの椅子にフランス人形が座っている。ピンクのドレスがとても可愛い。天使のような顔をした人形の手に、人類滅亡リモコン。
「……ごめんね、杏江さん」
人形の中にあるスピーカーから音が出た。
「今まで一人でいるのが怖かったの。お友達がいなかったの。だからこのリモコンで皆を注目させようとしたの」
こんな事して許されると思ってるの?
「でも、私は酷い事をしたと思ってるの。私の暴走を止めようとしてくれたこと、ありがとう。玲菜さんのことは、ごめんなさい。こんな.醜.い私の姿を見てほしくないから、人形を通じて喋っているの」
だから、何?
「お願い、私のお友達になってくれたらこのリモコンは壊す。でもね、お友達になってくれないと……」
私の周りで幹部が銃を構えていた。それが怖くて、あたしは言ってしまった。
「うん、いいよ」
「ありがとう。友達として一つお願いがあるけど、雑用係になって。あと、リモコンを壊すというのは、嘘だから」
雑用……係? あの重労働の?
「杏江、早く行け、トロ.いんだよ!」
「そうだ、さっさとしろ」
幹部はあたしを蹴り、雑用係用の個室へあたしを連れて行った——いいんだ、こんな目に遭ったのは杏江じゃないから。
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