ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.156 )
- 日時: 2009/12/26 11:26
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第四十五話 香里の心
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「奈央土君も大変ね。もうすぐ本部に行くんだから」
「いや、俺が勝手に決めた事なので」
「勇敢ね、日本の子は」
サラさんは微笑んだ。と同時に、玄関のドアが開いた。ノアが帰って来た。
「奈央土……」
ノアは傷だらけで帰って来た。
「何があったんだ、お前」
「DARK GODの奴らが攻めてきた」
……遂に、そうなったか。あいつら、俺がいない時を狙って。
「ノ……ノア……」
サラさんは怯えている。
「学校に爆弾しかけられているらしいから帰った。だが、何故か香里だけ帰らない」
香里が? あいつ、何やってんだ?
「おい、俺、行くから」
「奈央土君、止めて!」
「奈央土!」
俺はノア達が引きとめていても学校まで走っていった。二度と行かないと決めていたが、何があったのか俺は知りたい——そして、やっと学校の校門まで着いた。DARK GODの奴に捕まっている香里がいた。香里の背中に何かがある。
「香里!」
「お前、こいつの彼女か? こいつの背中には今、時限爆弾がある。十分後、爆発する。もし、嫌なら——」
下っ端は、拳銃を俺に向けた。やっぱりそうだと思った。そして、迷わずそう言った。
「ならば、香里の爆弾を外してもらおうか」
下っ端はすぐに香里の爆弾を外した。——念のため、こっちも拳銃を隠し持っている。世界に通用するようになったダークゴッド憲法では銃について規制を作るのは禁止されているからである。だが、俺が銃を持っている真の目的は俺のことをよく知っている奴にしか分からないだろう。
「よし、やっとこいつの首がとれる」
日本の侍かよ、お前は。——ところが、引き金を押しても相手の銃から弾が出なかったのだ。
「……弾の補充を忘れた」
「あーあ、それならさっさと帰ってよね」
香里は直ちに下っ端を.殴..り倒した。
「二度と学校に行かないんじゃなかったの、奈央土」
「ノアがお前がまだ家に帰っていないと言っていたから様子を見にきただけだ」
「あっそう。でも、助かった——ありがと」
香里の目に涙が浮かんだ。
「ウチ、強がっていただけかもしれない、今まで」
香里はそう言って教室まで走った——俺は、本当は今まで香里のことがかなり気になっていたのかもしれない。
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