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Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.162 )
日時: 2009/12/26 11:27
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)

第四十六話 モモエとユズエ
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「友一」
赤峰さんが僕を呼び出した。
「何ですか?」
「喜べ、杏江はここの雑用係になった」
も……杏江が? こんな仕事したら体が壊れてしまうじゃないか。絶対に喜べない。
「赤峰さん……何で杏江……さんを助けなかったのですか」
「俺にはどうにも出来ないこともあるんだよ」
赤峰さんは冷たい声でそう言った。
「全く、最近の餓.鬼は人に頼りすぎている。まあ、友一はまだ中一で餓.鬼だが」
まあ、所詮、僕は子供だ。
「奈央土に憧れているなら俺に頼るな。じゃ、俺は仕事に戻る」
赤峰さんはこの部屋を出てしまった。
「……さっきの友一って奴?」
「わっ」
なんと、後ろに杏江がいた。僕はかなり驚いた。
「何なのよ、せっかく挨拶しに来たのに」
杏江は憂鬱そうな顔をした。
「……ごめんなさい」
「まあ、いい。あたしのことは杏江って呼んで。あと、敬語じゃなくていいから。同級生じゃないの」
……やっと杏江と二人きりで話が出来た。僕はこの時を待っていたのかもしれない。
「おい、そこ、仕事しろ」
やばい、見張りがいる。城島さんだ。
「……って、お前、どこかで見たような」
城島さんは、杏江を見てそう言った。
「誰?」
杏江はそう言った後、慌てたような顔をした。
「あ、噂の奴か。赤峰さんから捕まった奴は偽者だと聞いた。ところで、お前、誰?」
杏江が、偽者……?
「……今まで隠していたけど、本名は橋本 柚江。杏江と入れ替わっていた。一応あたしは杏江の双子の姉」
杏江じゃないのか……?
「一応言っておくが、リーダーは鈍.感ではない。凄い薬を飲んで最強になって、感がさえるようになったと聞いた。だからお前が偽者だってこと、あいつは分かってんじゃねえのか」
ということは、もし捕まったのが柚江じゃなくて杏江だったら.死..刑になっていた、ということなのか?
「とりあえず、友一、柚江に仕事教えてやれ」
「はい……」
他の雑用係はかなり驚いていた。捕まったのは本物の杏江ではなかったからである。
「ああ、もう、終わりだ——バレてしまった」
柚江は気が抜けていた。きっと妹をかばうために名前を.偽..って自首したのだろう。
「……僕にとってはモモであろうとユズであろうと構わないけどさ」
「何て言った、アンタ」
……怒っている柚江もなかなか可愛かった。
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