ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.185 )
- 日時: 2009/12/27 21:47
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第四十九話 冷めた心
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香里は必.死..に明日原さんに抵抗していた。
「嫌って言われたって……お父さんにとっては香里が心の支えなんだ」
「ウチがやられると最初から思っているわけ? ウチの実力を認めないなんて。アンタ、それでも親なの?」
「でも、万が一のことがあったら……」
香里……親に隠れてDARK GOD撲..滅.計画を進めていたんだ。
「いいか、絶対に本部には行かないでくれ」
「嫌よ。父さんはウチが小さい時、ウチをおいて宇宙に行った。そして、太陽フレアに襲われそうになった。幸い、父さんは助かったけど、宇宙飛行士って、よく考えたら命がけの仕事じゃん。本部に行くことだって、命がけのこと。父さんの.血..を継いでいるウチにできないとでも思ってるの?」
「香里はまだ子供だ。それと本部に行くことは仕事ではないじゃないか」
確かにそうだけど、それは香里が決めた事だ……明日原さんの気持ちも分からないことはないけれど。
「ウチが望んでいた事を父さんなんかに阻止されたくないの」
「子供を守るのが親の責任だ。母さんだって、香里に反対しなかったか?」
「しなかった。むしろ、勝手に行けって感じだった。父さんがいない時は母さんからご飯食べさせてもらえなかった。だから時々、こっそり金庫の中のお札を持ってファーストフード店へ行った。父さんはウチにとって唯一の救いだった」
……香里、いつの間に心の傷を負っていたの?
「でも、父さんは何で命に関わる仕事をしたの? 父さんがいなくなったら、ウチは餓.死.してしまうのに」
「香里……」
「今回は、父さんに対する逆..襲.。ウチを餓.死.させようとした罰なの。だから本部に行かせてよね」
逆..襲.……?
「じゃあ、ウチ、もう行くから。ウチを見捨てる親なんかいらない」
香里は明日原さんから離れてしまった。
「香里!」
「も、杏江? 久しぶりじゃない」
「……何で香里のお父さんにあんな事言ったの?」
「聞いてたのか」
香里は溜め息をついた。
「親はウチの事が分からないから。十三年間も一緒に暮らしているのに」
「その気持ちは分かるよ、でも——」
「もうその事は話さないで」
……香里はそう言って玲菜の別荘まで走っていってしまった。すると、明日原さんがあたしに話しかけてきた。
「そこの子、香里の友達かい」
「は、はい」
「香里を見てやってくれ……」
「……分かりました」
やっぱり、明日原さんは香里のことが心配だったんだ——あたしは複雑な気持ちになった。
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