ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.199 )
日時: 2010/01/03 09:48
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)

第五十一話 柔道部員、全員集合
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「奈央土君、もうすぐ着くから、もう少し待っていてくれ」

 乗組員が俺にそう言った——やっと着くのか。今まで暇すぎて何回も寝ていた。実は俺、すぐに寝るのは得意なのだ。それには何の得もないのだが。だから提雄には俺が日本にいる間に、

「役に立たない才能がありすぎるな、お前は」

 と言われたことがある。悪かったな、俺がそんな奴で。だが、俺が柔道が得意なことは後で役に立つはずである。実は、日本にいる間に、俺と行動していた奴らは全員柔道部なのだ。友一も柔道部員である。ちなみに、俺が部長だ。中三の先輩が部活を卒業してしまったからである。
 部員が他の運動部より少ないので、現在柔道部は.廃.部の危機に陥っている。だが、もうすぐ柔道部は立ち上がるのだ。世界を救うために。
 ——気がつけば、もうフェリーがヒューストンに到着していた。フェリーを降りると、乗組員が呼びとめた。

「奈央土君、気をつけてくれ、必ずDARK GODに勝ってくれ」
「はい、フェリーに乗せてくれた恩は忘れません、ありがとうございます」

 そして、俺はヒューストンの街を歩いた。提雄達が待っている隠れ家を探すために——隠れ家は、すぐに見つかった。提雄の祖母の家だ。日本が立ち入り禁止になる前にここに引っ越したらしい。
 正面のドアのインターホンのボタンを押した。

「おう、奈央土か。入れ、鍵は開いている」

 正面のドアを開けると、十個のボタンがついている壁があった。どうやらセキュリティシステムらしい。

「四桁のパス..ワードを入力して下さい」

 パス...ワードが分からない限り、向こうには行けない。

「提雄、入れないじゃねえか。パス..ワードは何だよ」
「えーっと、俺の誕生日がヒント」

 提雄の誕生日を入力すると、大きい音のブザーが鳴りだした。まさか、間違えたのだろうか。……しかし、俺が提雄の誕生日を忘れる事などないはずだ。提雄は俺の幼馴染だからである。

「不審..者を発見しました。直ちに警察に通報します」

 まさか、不審..者と間違えられているのか、俺?その後、警告音が鳴った。

「おい、ふざけるなよこの機械!」

 俺はキレて機械を.殴..った。絶対壊れてるだろう、この機械——すると、機械が倒れた。向こうにはCDラジカセが置いてあった。

「何だ、これ」

 すると、提雄達が来た。全員、俺より早くここに来たらしい。美音子だけは

「ウチだけ女だから集まるのは嫌」

 と言っていたので来る筈がないが。
 提雄達は爆笑していた。

「先輩、面白いですね」
「先輩がそこまで慌てるなんて思ってもいませんでした」

 後輩も俺の事をバ..カにしていた。

「奈央土、お前最高」
「これは俺達の手作りの『偽セキュリティシステム』だぜ。あーあ、こんな物に騙..されるなんて奈央土も餓.鬼だな」
「黙りやがれ」

 ……とりあえず、美音子と友一以外の柔道部員は全員集合した。
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