ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.214 )
- 日時: 2010/01/17 07:59
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第五十三話 失った信頼
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あたし達は、今、作戦を考えている。あたしは、日本にいた頃に玲菜から貰ったDARK GOD本部の地図をカバンから取り出した。
「玲菜って、意外に勇気あるのね、どうやって手に入れたのかしら。まあ、自.殺.したけどね、あいつ」
香里は溜め息をつきながらそう言った。玲菜が自.殺.したから、それにがっかりしたのだろう。
「あの……玲菜、玲菜のこと、悪く思わないで。玲菜は苦しかったんだよ」
優しい真子はそう言った。あたしも真子の言う通り、そう思う。
「さて、そうかしらね。人は分からない。玲菜は、誰も自分を助けてくれないから、その復.讐.にそうしたのかもしれないし。つまり、玲菜はウチらを信用しなかったんだから、ウチらも玲菜のことを信用する必要はないわ」
香里は冷たくそう言った。
——どうして、香里。玲菜のこと、信用しなよ。玲菜はあたし達が助けてくれると思っていたなら、それで玲菜はあたし達を信用してくれていたことになるじゃない。……そう思っていた矢先に、あの言葉が浮かんだ。
「杏江、来るのが遅いよ。遅すぎる。遅くなかったらこんな事にはならなかったのにね」
……あの時、玲菜はそう言った。既に、あたし達は玲菜の信頼を失っていたんだ。
でも、香里以外の子は、玲菜を信用している。
「やめなよ、そう言うの。玲菜は友達じゃん、あたし達を信用しているはずだよ」
「だから、私達も玲菜の事、信用しなきゃいけないわ」
杏と優子がそう言った。既に信用を失っていることも知らずに。
玲菜は頭が良く、運動神経も良く、可愛いし、優しい。だから、皆は玲菜を信用している。
だから、本当はあたしも玲菜の事、信用していたい。
「……作戦はどうしたの。早く決めないと、後が大変よ」
香里は皆の言う事を無視した。
「香里、どうして玲菜を信用しないのかしら」
美沙都が香里に言った。
「前に言ったわよ、人は分からないって。話聞いてた?」
……今日の香里は冷たかった。いつもは玲菜にも、皆にも優しいのに。
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