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第五十五話　邪.悪な神
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　捕らえた杏江ちゃんが偽..者だということは、彼女がここに来る前に知っていた。前に飲んだ薬の効果でね。
　名前は……柚江ちゃんだったわね。私のおかげで、今、生きているんだから、少しは感謝しなさいよね。結構優しいでしょ、私って。ところで、その妹の杏江ちゃんは臆..病なのね。私は怖い人じゃないのに……本当は貴方に来てもらいたかった。

「リーダー、ココアはいかがですか」
「ええ、一杯ちょうだい」

　実は私、ココアが大好.きなの。どんなに辛いことがあっても、ココアがあれば忘れられる。あの甘さが、私の疲れをとってくれる。
　もうすぐ、私は他の勝手な人間に邪.魔されない世界に行く。人口惑星Xでは、カカ.オの木が沢山植えられる予定なの。次の世界でも私がココアを飲めるようにね。
　私の方が勝手な人間だって言う人がいるけど、もう私は人間じゃない、神と同等なのよ。神に逆らったら、天罰が下るわよ——。
　私の先祖様が決められた、人間への天罰、それが人類滅亡よ。人間は、神への態度が悪かった。だから、その罰として、人類滅亡がもうすぐ行われる。でも、私を信じる人間だけは残しておいてあげる。そういう意味では、完全な人類滅亡ではないけれど……。
　反逆者は、いつ、ここに来るのかしら。いつ来てもいいように、準備はしてあるけどね。

「リーダー、大変です」
「どうしたの」
「反逆者達が、ヒューストンに……」

　とうとうヒューストンに来たのね。香里ちゃん達も、奈央土君達も。

「それなら、今夜は寝ずの番よ。いいわね」
「はい、分かりました」

　フフフ、いつでも来なさい、反逆者の少年少女よ——。
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