ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.258 )
- 日時: 2010/01/23 21:44
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第六十二話 真の黒幕
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黒いドレスを着た女は、ニヤリと笑った。
「ようこそ、私の部屋へ」
女は、黒い帽子で素顔を隠している。
「……あの、あたしへの判決は……何でしょうか」
あたしは、神と同じような立場の女に恐る恐る聞いた。きっと怒っていらっしゃるだろう。あたしは彼女に逆らったから。だから、女が何を言うかは想像がつく。
そして、女は答えた。
「フフフ……あれは、嘘」
え……? 嘘?
あたしは驚いた。
「貴方に.死..刑なんて言い渡せる訳が無いじゃないの」
どうして?
あたしは、貴方に逆らったはず……。
「許して下さるのですか」
「当たり前じゃないの」
女はそう言うと、帽子をとった。
神とされてきた女の顔は、どこかで見たことがあった。
この女は、もしかして。
「れ……いな」
「うん、玲菜だよ、ウチは」
リーダーは、突然言い方が変わった。
玲菜が、リーダー? あたしの最大の敵が……? あたしを残してあの.世..に行ったんじゃないの? あの時はとてつもなく悲しかったけど……。
「あたし達を日本から追い出したのは、玲菜なの……?
「そう。驚いた?」
玲菜は笑った。
今は笑える状況じゃないのに。
「あの時、杏江に、世界を救おうと誘ったのは、ここに来てほしかったからなの。杏江は親友だから、新世界に連れてってあげたかったの。他の皆は連れて行かないけどね。もう避難カプセルは出来たから、早くそこへ逃げよう、ね? ウチって、優しいでしょ」
違う、これは本当の優しさなんかじゃない。
単なる玲菜の欲望だ。親友でも、こんな事は許せない。
「嫌だ、あたし、行かない」
「親友でしょ、言うことは聞いてくれないと」
玲菜は、向こうに指差した。
すると、..牢..屋があった。そこにいたのは、香里達だった。
そして、リーダーはリモコンを取り出した。
「このボタンを押すとね、..牢..屋の中が炎に包まれるんだ。つまり、香里達はね……」
玲菜、そんなの酷いよ。..残..酷だ。
でも、また逆らったら玲菜の思うままだ。従ってもそうだけど……。
「さっさと、行こうよ。香里達が大切なら」
本当に、玲菜は邪悪な神だ。でも、だからってあたしは何も出来ない。
もう、諦めるしかないの? 玲菜に従うしかないの? 香里達を救うには。
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