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Re: 人類滅亡リモコン (もう少しで完結) ( No.266 )
日時: 2010/01/30 22:34
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)

第六十三話 選択
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 本当は、行きたくない。避難カプセルなんかに。

「杏江、いいのよ、ウチらは。玲菜なんかに従ってどうするのよ」

 傷だらけの香里がそう言った。

「でも、香里……」
「いいのよ、玲菜は敵だから」

 でも、あたしを支えてくれた皆を傷つけたくない。だから、あたしは従うことしかできない。

「……あたし、行く。だから皆を助けて、玲菜」

 たとえ、玲菜が悪でも逆らえない。

「分かった。親友がそう言うならね」

 玲菜は牢..屋.のリモコンを投げ捨てた。

「でも、ウチの言うことも聞いてね」

 玲菜は、あたしの手を掴んだ。
 ……これでいいんだ、皆を助けるためには。

「行こう、杏江」

 玲菜は、あたしを避難カプセルに連れ込もうとした。
 しかし、それと同時にこの部屋の扉が開いた。扉を開けたのは——奈央土さん達だった。
 玲菜は、足を止めた。

「……奈央土さん?」
「お前な、自分が何をしようとしているか分かってねえだろ」

 あたしが、しようとしている事?

「でも、こうしないと香里達が……しかも、玲菜はあたしの親友ですし……」
「そいつをまだ親友だと思ってるのか? お前は最..低.だな!」

 お前は最..低.だな——。
 あたしはその言葉を聞いて、頬を.殴..られた後のような気持ちになった。
 玲菜が、奈央土さんに口答えした。

「ウチの親友に最..低.とか言わないでよね、反逆者」
「お前は単に人を利用しているだけだろ、自分に都合がいいように」

 人を、利用——? 嘘だ、親友である玲菜がそんなことするはずない——。
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