ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人類滅亡リモコン (もう少しで完結) ( No.276 )
- 日時: 2010/02/03 22:43
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PwsOoYFR)
第六十六話 解放
_______________________
玲菜がいなくなった時に後ろを見ても、誰もいなかった。……奈央土さん達はもう香里達を助けたんだ。
「よう、お前か」
……過去にあたしの暴走を止めた男が、この部屋に入って来た。
「お疲れ、よくここまでやったな。人類滅亡リモコンは、奈央土の奴が分解した。この通りだぜ」
その男が持っている、分解された人類滅亡リモコンを見て人類の歴史はまだ続くのだと分かった。
「奈央土の奴、雑用係の所に行ったぞ。お前は行かないのか?」
そうだ、向こうに行ったら、お姉ちゃんがいる。
「……はい、行きます」
そして、あたしは雑用係の部屋まで走った。
「杏江!」
お姉ちゃんは大きく手を振っていた。お姉ちゃんの周りには、香里達がいる。
「会いたかったよ」
お姉ちゃんがそう言うと、涙があふれてきた。
周りの皆は、笑顔であたしを見た。
……そうだ、奈央土さんにもお礼言わなくちゃ。あたしは奈央土さんの所に駆け寄った。
「おい、奈央土、お前の彼女来てるぞ」
「黙れ! 提雄……って、何だ、杏江」
奈央土さんがあたしを見たのであたしは何だか恥ずかしくなった。
「あの……今まであたしを支えてくれてありがとうございました」
思わず緊張してしまった。……奈央土さんは何も言わない。
「ごめんよ、杏江ちゃん。こいつ、年下の女の子に弱いから」
奈央土さんの友達は笑った。
……暫くして奈央土さんは言った。
「いや、俺もお前に感謝しなければならない事はあった。リーダーは元々杏江の親友だったが、杏江は避難カプセルへ行かなかった。リーダーに従わなければお前はやられるかもしれなかったのに、最後までリーダーと戦った。もしお前がリーダーを最後まで親友だと思っていたら、俺らはリーダーを倒.すことは出来なかった……こちらこそ、ありがとう」
あたし達は、何故か暫く見つめあっていた。
すると、さっき会った男がこの部屋に入ってきた。
「赤峰……さん?」
お姉ちゃんは、そう言った。
「奈央土と杏江……カップル成立か。お似合いだぜ」
赤峰という男は笑った。
すると、周りの皆が笑った。奈央土さんの友達がこう言った。
「あー、ちょっと、おっさん、それ、俺のセリフだったのに」
すると、赤峰という男はこう言った。
「そうか、そうか。悪かったな」
あたしも皆と同じように笑ってしまった。
_______________________