ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人類滅亡リモコン (もう少しで完結) ( No.285 )
- 日時: 2010/02/05 22:49
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PwsOoYFR)
最終話 終わった戦争
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あたしは中二になってもDARK GODに立ち向かった時のことを忘れていない。でも、DARK GODによって乱れていた世界は無くなり、今、目の前にあるのは平和な日常だ。
一緒にDARK GODに行った仲間のほとんどはクラスが別れてしまったけど、香里だけは同じクラスだった。
日本に帰る前より香里と一緒に喋ることが増えた。以前は玲菜がいたから香里とはあまり喋らなかった。玲菜が敵だったということは悲しかったけど……。
「ねえ、香里、未だに玲菜がリーダーだったなんて信じられないよね」
「実はね、ウチ、知ってたの」
「え……?」
し、知ってたの?
「カナダに行く前に玲菜がトランシーバーで部下に命令している所を見たの。玲菜がいなくなる前日、玲菜が『ウチが行方不明になったとニュースに報道させなさい』って言ってたし」
「そんな……」
それじゃあ、玲菜が自.殺..したという報道は、玲菜の命令だったんだ。……その報道は、あたしが再び玲菜に会うまでは、本当だと思ってた。
「話変わるけど、何で奈央土と見つめあってたの、あの時」
「いや、別に好きなんじゃなくて……」
「やめといた方がいいわよ、凶.暴.だもん」
香里はそう言って笑った。でも、本当はあたし、奈央土さんのことが好きだった。困った時、いつも助けてくれたから。本当に辛かった時、支えてくれたのは奈央土さんだった。香里は奈央土さんのこと、あまり良く思ってないみたいだけど。
お姉ちゃんとは、一緒に東京で暮らしている。お母さんの誤解もとけて、今では楽しい毎日を過ごしている。
お姉ちゃんとはクラスが違うけど、美沙都達と過ごしているらしい。これならジュディ達がいなくても寂しい思いをしなくていいから、お姉ちゃんも幸せそうだ。
「……お姉ちゃんの同級生に『五十鈴 玲菜』って子がいたって言ってたけど、どんな子だったの?」
「ああ、実はそんな子いないの。あたし、杏江の友達の玲菜って子が、リーダーだって知ってたの。一部の新聞ではリーダーの本名出てたし。でも、杏江に教えたくなかったの、その事。だから杏江が玲菜って子の名字をあたしに教えた時、その場をごまかすためにそう言ったの」
……なんだ、お姉ちゃんも知ってたんだ。知ってたなら、教えてくれたって良かったのに。まあ、いいや。
「話変わるけど、こんなに楽しくなかったよ、東京に行くまでは。前まではDARK GODに雑用やらされていて」
もう、DARK GODの好きにはされない。人類滅亡に怯.えずに済む。あたし達は、DARK GODと戦うことによって自由を手に入れたのだ。
四月十日はもう過ぎている。でも、それ以降の未来が、今、存在している。
あたしと一緒にDARK GODと戦ってくれた皆、本当にありがとう。
もう一度、人類滅亡リモコンが作られないことを願いたい——。
——完結——
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