ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人類滅亡リモコン/悪の支配の下で ( No.303 )
- 日時: 2010/02/09 22:44
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PwsOoYFR)
第四話 雑用係のガキ(後編)
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ところが、警察官は簡単にはアメリアを信じなかった。
「お嬢ちゃん、無理して嘘をつかなくてもいいよ。君はこの男に脅.されたのだろう?」
「違う! お兄さんは……私を助けてくれたの。お兄さんがいたから本部から脱出できたの……だから、お兄さんを捕まえないで!」
アメリアはそう言って泣きだした。
警察官は暫く困った顔をしていたが、やっと事情を理解してくれたようだ。
「……分かったよ、お嬢ちゃん。男は捕まえない」
警察官は、手錠を外してパトロールを再開した。
「……いやあ、助かったぜ」
「お兄さんが助かって良かった」
アメリアは初めて微笑んだ。
アメリアが警察官に訴えなかったら、今の俺はいないだろう。
「ところで、お前、行き先の空港からの道分かるか?」
「うん、向こうのお巡りさんが教えてくれるよ」
「そうか、そうか」
俺はポケットに入っていた現.金を差し出した。交通費だ。
アメリアは高額の現.金に驚いている。
「DARK GODがお前ら民衆から奪.った金だ。もらっとけ」
「ねえ、お兄さんは向こうまで行けないの——?」
「行けない」
朝までに本部に戻らなければならない。DARK GODでは入団して一ヶ月は本部で過ごさなければならないからだ。入団して一ヶ月後は、そこら中のDARK GODの基地を行き来できるのだが、その日までの辛抱だ。
ちなみに、五時半には雑用係の職場にいないとクビになってしまう。クビになったら、俺の命はないのだ。だから、アメリアと飛行機に乗ることは出来ない。
「私、お兄さんと一緒がいい」
「嫌でも別れなくてはいけねえ時は来るんだよ」
「そんな……」
アメリアは、暫く黙りこんでしまった。
「おい、お前の親、待ってるぞ。さっさと行け」
「……うん、今までありがとう。私、お兄さんの事、忘れない」
アメリアはそう言って向こうまで走っていった——。その時、アメリアは涙を流していた。
アメリアと別れた後、急いで本部へ戻った。そして、雑用係のデータが保存してあるパソコンからアメリアのデータを削除した。……バックアップはないようだ。こうして、アメリアは完全に逃走成功した。
朝になって、同僚はアメリアがいないことに気がついた。
「おい、赤峰。アメリア クーパーを知らねえか?」
「知らん。て言うかそんな奴いたっけ」
俺は、そう言ってごまかした。
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