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Re: 人類滅亡リモコン/悪の支配の下で ( No.336 )
日時: 2010/03/04 22:44
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PwsOoYFR)

第六話 謎の薬 DG—00
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 俺は早泉が嫌いだ。中学生時代、何度もそいつを避けてきた。だが、俺がどれだけ逃げても、早泉は俺を追ってきた。
 ……どういうことだ。ふざけるんじゃねえよ。
 早泉は見た目がいいし、成績も運動神経も良い。だが、俺にとっては完璧に近い人間ほど気持ち.悪.いものは無いのだ。
 人間は不完全だ。完全な人間はどこを探してもいない。だが、完全に近い人間はいる。それが、早泉なのだ。

「ところで、赤峰君……」

 まさか、と思った。早泉が笑っている。

「ウチと……付き.合って。ウチ、中学の時から赤峰君の事しか考えてなかった」

 俺は、心の中で、ふざけるなよ、と叫んだ。

「断る」

 俺がそう言うと、早泉はニヤリと笑いながらこう言った。

「そう……それなら、あの手を使うしかないわ」

 二人の男が、突然俺の腕を掴んだ。

「付き.合ってくれないのなら、今からリーダーに赤峰君がパーティーを抜け出そうとしたことを言うわ」

 一方的な選択はお断りだ。
 早泉と付き.合うくらいなら、.死..んだほうがましだと思った。

「……俺の事など好きなだけリーダーに言ってこい」
「あら、ウチを敵に回すのね。なら、いいわ」

 早泉は、そう言ってこの場.から去った。二人の男は早泉が戻ってくるまで俺の腕を掴んだままだった。
 暫くして、早泉が戻ってきた。

「言いつけてやったわよ、赤峰君」

 早泉が戻ってくると、二人の男はやっと俺から離れた。

 次の日、リーダーに呼び出された。俺は.死..ぬ覚悟でリーダーの部屋に入った。

「君は、玲菜の誕生パーティーを抜け出そうとしたね」
「はい」
「……本当なら終..身刑なのだが、その代わりに君にやってもらいたい事がある。今回はそれで許そう」

 リーダーに逆らえば、普通は終..身刑だ。だが、俺はその終..身刑を逃れた。何故なのだろうか。

「今日の昼、DARK GOD研究部で作成された薬、DG—00(ディージーゼロゼロ)を服用してほしい」
「……わかりました」

 だが、DG—00を飲んだだけで命.を落とす可能性もあるのだ。DG—00がどういう薬なのかは知らされていない。まだ誰もこの薬を飲んだことがないらしいのだ。

 その日の正午、俺はDG—00を服用した。そして、服用した途端に、俺は意識を失った——。もう、俺の終わりだと思った。
 俺を苦しめた早泉を恨.みながら、目を閉じた。
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