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Re: 人類滅亡リモコン ( No.411 )
日時: 2010/03/30 16:46
名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: QShSD58R)

第十八話 逃げた先
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 東京行きの飛行機はまだ出発しないので、暫く福岡の街を歩くことにした。ここには、あの玲菜はいない。
 奈央土がいなくなってから数分後、携帯電話のバイブが鳴った——玲菜からだ。チ.ッ、人が休んでいる所を……俺は、着信を拒否した。
 今は、誰にも会いたくない。一人でいたい。俺だって人間だから、玲菜にずっと付きっ切りでいたら疲れ果ててしまう。
 一人でいる時間が、俺は好きだ。一人でいると落ち着く。思えば、俺は小学生の時から、団体行動が嫌いだった。

「真喜男?」

 ……誰だ、俺を呼んでいるのは。気のせいだろうか。

「お前、真喜男か?」

 気のせいではないようだ。確かに誰かが俺を呼んでいる。
 でも、もう俺の名前は呼ぶな。また俺を苦しめるつもりだろう——。

「真喜男じゃないか」

 うる.さい、俺の名前をしつ.こく言うな。俺は一人でいたいんだよ。
 怒りがこみ上げてきた。

「うる.さい! 来.るな!」

 俺は、そう言って全力疾走した。
 ところが、俺の名前を言った奴は、俺を追いかけてくる。

「来.るなって言ったろ、聞こえないのか!?」

 俺がこう言っても、あいつは追いかけてきた。
 俺は逃げ続けたが、目の前に、俺が憎.んでいる奴がいる——。

「真喜男、止まりなさい。お父さんだって、貴方を探していたのだから。どうしてあの時、急にいなくなったの?」

 俺が逃げた先にいたのは、俺の母親だった。
 あいつら、再び俺を苦しめるために、まだ俺を探していたのか——?
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