ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.89 )
- 日時: 2010/01/03 11:25
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第二十話 DARK GODの国、日本
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「十二月二十五日に日本を立ち入り禁止にすると、DARK GODリーダーが言われました。また、リーダーの母国語である日本語が、世界の学校で義務教育となりました」
チッ……何でこんなニュースしかねえんだよ? 日本に居られないって事は、俺らはどうなるんだよ?
「奈央土」
「何だよ、母さん」
「カナダに引っ越す事にしたの。今すぐ荷物の準備をしなさい。今のニュースでやってたでしょ?」
……アメリカじゃないのか。
「何でアメリカじゃねえんだよ」
「奈央土の安全の為よ。母さんにはね、カナダ人の友達がいるの。その友達の家の地下に広い部屋があるから……そこで暮らすことになったの」
「……そうか、しょうがねえな」
しかし、提雄達は日本が立ち入り禁止になったら何処へ行くのだろうか?電話で聞いてみることにした。
「提雄。日本が立ち入り禁止になったら何処へ行くんだよ」
「中国だ。奈央土は?」
……遠かった。
「俺はカナダだ」
「カナダって……遠いじゃねえか。どうするんだよ、俺ら……」
俺も同じ事を考えていた。でも、このまま諦める訳にはいかない。
「お……おい、まさか、友一を助けるのを諦めるのか? 今までの苦労が水の泡じゃねえかよ!」
「俺はそこまで言ってない!」
……暫く提雄の返事が無かった。
「なら、どうするつもりなんだよ?」
「今までの予定通り、二月十九日までにアメリカのヒューストンに集合して二十日にDARK GODを倒.す。遅れてくるなよ。それをメンバーに伝えておいてくれ」
「分かった……」
俺は電話を切った。しかし、俺はまだ不安だった。全員、生きてそこに集合できるのか?
「奈央土、言い忘れていたけど」
「何だよ、まだ何かあるのか?」
「その髪、黒に染めてほしいの。飛行機に乗る時、検査官に奈央土だってバレないようにね」
「は?」
そんな真面目ぶった事、俺には出来るか! 全日本柔道大会で優勝して、やっと校長が金髪のままでいいって言ったんだぜ? 校則では許されていないが。
「ほら、美容室に行くわよ!」
……俺は抵抗したが、無駄だった。長かった髪を切られ、髪を黒く染められてしまった。
「お客様、これで良かったですか?」
鏡に映っていたのは、今までの俺ではない俺だった。
「お……おう」
染められた後だったので、抵抗のしようがなかった。
「奈央土? 終わったなら早く家に帰って引っ越しの支度をしなさい!」
もうすぐ、俺は日本からいなくなる。そう思うと、DARK GODに日本をとられるのが悔しかった。……絶対に生きて日本に帰って来てやる。
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