ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.9 )
- 日時: 2009/12/30 15:37
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第四話 敵はどこでもいる
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美沙都と会った次の日も学校があった。正直、休みたいけどね……。でも、理科の授業だけは好きだ。理由は、来田先生の授業があるからだ。来田先生は、皆に優しい先生で、えこひいきもしない。
「授業を始めるぞ。今日は水溶液の実験をしよう」
「はーい」
「よく聞けよ。ここに、アンモニア水、水道水、塩酸が入っている。そこにBTB液をかけて、何色に変わったかよく見ておけ」
「はーい」
ここまでは良かった。しかし事件はここから始まった。あたしと同じ班の日田君がこっそりナイフを持ってあたしに向けて来た……。
「ちょっと……日田、どういうつもり?」
「お前の計画を阻止するんだよ」
「……という事は、DARK GODの一員?」
「そうだ。だから悪いがお前は……」
「キャアア!」
あたしは逃げた。
「ど……どうした? 橋本」
「気分が悪いので保健室に行きます」
「そうか。大丈夫か?」
先生は心配してくれている。しかし、あの日田が……。
「俺、橋本を保健室まで送ってく」
「そうか、頼んだぞ、日田」
絶体絶命だ。あたしが居なくなったらどうするんだろう。玲菜達。あたしは全力疾走で保健室まで逃げて行く……。でも、日田は足が速い。そりゃあ、男子陸上部の期待の新エースだって言われているからあたしよりは速いはずだ。
「もう! 来ないでって言うのが分からないの?」
「お前がいたら困るもんでな。これはリーダーからの指令だ。お前を片付けたら……次は明日原と秋野だな」
「いいわよ! アンタを警察にやるから!」
「出来るなら、やってみろよな。本当はできないのに強がっているだけだろ」
「そ……そんな訳、ないわよ! アンタが負けるからね!」
いや、本当は日田に負けるはずだ。あたしには戦闘能力がないから。気づけば、日田と三メートルしか離れていなかった。
「残念だな。もうお前とのゲームは終わりか」
「ゲーム? 変な言い方しないでよね。あたしはアンタから逃げているだけなのよ?」
残り二メートル。残り一メートル。……残り五十センチ。もう、諦めた。あたし達で人類を救うなんて、不可能だったんだ。何で香里は無理な事をしようと思ったの?玲菜も、美沙都も。そう思っていた……しかし。
「日田! アンタの計画は失敗! ウチが出てくるなんて予想外でしょ?」
「ゲッ! お前は……七瀬!」
「そう。残念だったね」
……杏? 何で此処に?
「さっき保健室から出たところ。まさか今、ウチが教室に向かって歩いていたなんて、日田は不.吉ね」
杏は日田をボコボコにし、隠し持っていた携帯電話で警察を呼んだ。
「七瀬……覚えてろよ」
そして、日田は警察に連れて行かれた。
「ありがとう、杏」
「いえいえ。ところで杏江って、玲菜と香里とDARK GODを倒そうとしているんだよね?ウチも中に入れてほしいんだけど……」
「もちろん! 強い人大歓迎!」
杏もあたし達の仲間になった。味方は多い方がいいから。
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