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第二十三話　敵か？
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「今の治人って名前、ウチは仮名だと思うんだけど？」

　そいつは、微笑んでいた。

「何故だ？」
「日本にいた頃、友達から聞いた。奈央土っていう人は、髪を黒く染めたって。いつか指名手配のポスターの写真が変わるかもね」

　今度こそDARK GODの奴なのだろうか。

「正直に言え。お前はDARK GODの奴なのか？」
「さあね。ところで、奈央土って、橋本　杏江って言う子を知っているかしら。」

　いきなり呼び捨てかよ。だが、こいつはモモエなのか？

「まさか、お前がモモエか？」
「違う」
「じゃあ、お前は誰だよ」
「明日原　香里。杏江の友達よ。私はまだ十二歳なのに手違いでこの学校に行っちゃったけど。杏江はまだ日本を出ていないわ」
「おい、お前、モモエの友達だったら普通、外国に行った方がいいとかモモエに言うだろ？」
「言った。でも、まだ杏江は明後日まで日本にいるわ。行先はアメリカだって。ヒューストンからは結構離れてるけど」
「危なくないのか？」
「大丈夫、杏江ならね。……あ、今、ケータイのバイブが鳴ったから。」

　香里のケータイのサブディスプレイに「橋本　杏江」と書いてあった。

「あ、でも、授業中だから、見ないでおこう」

　香里は、俺よりは真面目だった。俺は授業中でもメールを見るからだ。……DARK GODが作った法律のせいで今は日本語の授業だ。とても眠くなった。
　そして、授業が終わると、ノアが来た。

「よっ、香里の彼氏！」
「何言ってんだよ」
「さっき喋ってただろ。日本語だったから何言ってるか分からなかったけどさ！」
「なら日本語勉強しろ」

　……今はこんな感じの生活をしているが、提雄がいた頃の方が良かった。DARK GODに日本を奪.われる前の方が良かった。DARK GOD、いくつ人から物を盗.ったら気が済むんだよ。
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