ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 人・類・滅・亡・リモコン ( No.97 )
- 日時: 2010/01/09 19:33
- 名前: 唄子 ◆pHAblsSAME (ID: PQvy21Xz)
第二十六話 聖なる夜は日本占領日
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「おはよう、ジュディ!」
「杏江、待ってたよ!」
教室の向こうでジュディが大きく手を振っていた。
「ねえ、日本ってクリスマスの時、祈らないの?」
「まあ、大体の日本人はクリスマスはプレゼントを交換することしかしないよ」
「マジ!? 信じられない! アメリカではクリスマスで大規模なお祈りがあるのよ」
まあ、文化が違うからね。
「そうなんだ……。あたしが言うのも何だと思うんだけど、日本って、微妙な国だよね」
「うん。でも、日本が今年のクリスマスで無くなっちゃうでしょ?DARK GODのせいで」
忘れていた。——もうすぐ日本は日本じゃなくなることを。
「杏江、どうしたの?」
「いや、日本にいた頃を思い出して」
「でもさー、日本私有化するようなDARK GODってひね.くれているよね」
「うん。……実はムカついて下っ端を倒.した事がある」
「え!? さすが日本の子ね! これで世界救えるじゃん!」
「そうだといいんだけど」
そう、生き延びるため、DARK GODを倒.産させるために今、あたしがここにいるのだ。……その事をジュディだけに話した。
「あたし、いい友達持ったかも! 世界を助ける勇者と友達なんて、幸せ!」
……果たして、あたしは世界を救う勇者となることが出来るのだろうか。元々は香里の思い上がりで世界を救おうとして、本当は玲菜を救う為でもあって。しかし、リーダーとか幹部は、想像以上に恐ろしい人なのかもしれない。ジュディの期待を裏切る結果になるかもしれない。
「それは、分からないけど……」
「勇者は恐れてはいけないのよ! バッドエンドになったとしても、DARK GODに立ち向かったという過去は変わらないんだから!」
バッドエンドになっても……か。まあ、立ち向かう他には人類滅亡は止められないからね。
「……ところで、杏江。クリスマスの祈りに一緒に教会まで行かない? 子供はプレゼントが貰えるから」
「じゃあ、行こうかな……」
今年のクリスマスは日本を盗.られたお陰で本格的だった。こんなクリスマスは、生まれて初めてだった。そして、あたしは教会で、ある事を祈った。「人類滅亡が無くなりますように」と。
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