ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: †nightmare_ ナ イ ト メ ア _† ( No.2 )
- 日時: 2009/10/11 16:43
- 名前: 秋海 (ID: P/D0CuiW)
01
朝、登校途中でオレは信じられない物を目の当たりにしてただ立ち尽くしていた。
いつも通りに学校へ向かっていた筈なのに着いたのは自分の家。
「…なんで戻って来てんだ……?」
もう一度家を背にして歩き始める。10分程直進したら右に曲がってまた約10分。
いつもならこの簡単な道順で学校に着いてしまう…のだが、また自分の家が現れる。
あ〜……まだ寝ぼけてんのかな?
とりあえずオレは家に戻り出勤しようとしてた兄貴に車で送ってもらう事にした。
「兄貴〜ついでに学校まで送って、遅れる」
「はぁ?お前たった今出てったばっかりだろ、なんで戻って来んだよ」
たった今…?オレが家を出たのは30分以上前の話しだ。
オレがふとテレビの時計を見ると7時54分。オレが家を出た時間から数分しか経っていない。
「ん〜〜?そんな訳……」
オレがテレビの画面を見つめていると兄貴がオレのネクタイを引っ張ってきた。
「ほらっ、送ってやるからさっさと着いて来い!」
「わかったから引っ張んな、首が締まる!」
今度は兄貴の車に乗って学校に向かった。
そして何事もなく普通に学校についた。
「ほら着いたぞ、さっさと降りろ。こっちだって時間ねぇんだって」
「ん…あぁ、サンキュー」
…やっぱり寝ぼけてたのか?いや、そんな筈は…。
オレが色々と考えながら歩いていると足元にボールが転がって来た。
「あ……」
オレがボールを拾いあげると目の前に小さな女の子がいた。
なんだこの子…誰かの妹?……でも、それにしても…。
それにしても、その子は変わった雰囲気を漂わせていた。
翡翠色の瞳、腰まである長い髪、左の目元には花のマークが描かれている。
どう見ても…日本人じゃないよな。
こんな子がいて、よくみんな騒がないもんだ。
オレが周囲を見るとシーンと静まり返っている。
誰一人として喋らないのではなく、広い校庭にはオレと少女の2人しかいなかった。
「な…んで?」
「なんでだろうね」
「……!?」
その少女が笑った。
そして小さな声で言葉を続ける。
「これから、とっても楽しくなるから」
楽しく…少女はそう言ってオレの前から姿を消した。
そう、本当に霧が散るように消えてしまったのだ。