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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 1非日常 ( No.1 )
- 日時: 2009/10/13 17:25
- 名前: 仲矢真由乃 (ID: F.VKszn7)
「迷ったよスバル」
「知ってるつーのカズキ」
二人の少年、スバルとカズキは細い石畳の道を歩いていた。無論迷っているので知らない道である。
「どうしようかなあ」
「歩くしかねえよなあ」
「だよねえ」
「だよなあ」
あまり困っている風には見えず、気負うことなくてくてくと歩を進める。しばらくすると、やはり見知らぬ広場に辿り着いた。
「何じゃあここは」
「分かんない。でもあまり平和ではなさそうだね」
カズキの言う通り、その広場は平和的で美麗な場所とは言いにくかった。所々に寝転がっている浮浪者、昼間だというのに酔っ払って騒ぐ集団、痩せているが目だけはギラギラと光る若者たち。目に映るのはそんな人々ばかりである。
「まだリュート国にこんな場所があったか。帰ったら総長に伝えないとな」
「だねえ。でもその前に僕たちを囲んでいる人達にどいてほしいことを伝えない?」
のんびりとカズキが周囲をぐるりと見渡す。カズキにつられてスバルも視線を向けると、なるほど確かに一定の距離をとられながら、粗野な雰囲気を持つ男達に包囲されていた。手に持つのはギラギラと光るナイフ。
「通してほしけりゃ金をよこせ」
「えー、十ロビンしか持ってないんですけどー」
十ロビンで買えるものといえば、パン一個ぐらいのものである。
「だったら死んで身ぐるみよこせ!」
男達の一人がナイフを持ったまま二人と突進してきた。
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