ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

2非日常 ( No.2 )
日時: 2009/10/14 14:06
名前: 仲矢真由乃 (ID: F.VKszn7)

「うらぁっ!」

男のナイフがスバルの脇腹を貫通しようとした時。
スバルが飛翔した。いや、飛翔と見間違うほど華麗に跳躍したのだ。そして、囲いの外へと音もなく降り立った。

「あ!?」
「そんなちゃっちい攻撃で当たるわけないだろ?」


やれやれというように首を振りながら、スバルは手首にはめていた黄色い腕輪を見せるため、腕を突き出した。

「リュート国軍前衛隊隊長、スバルだ」

次いでカズキも黄緑の腕輪を晒す。

「リュート国軍後衛隊隊長、カズキでーす。いえーい」
「いや、いえーいいらんから」
「そう?」

緊張感なく囲いの中外で遠距離会話をする少年二人を、男達は驚愕の表情で見比べた。

「お、お前らが……あの!?」
「そうそう、あの」

もはやピースサインをするカズキに誰も手を出せない。
スバルとカズキ。彼等の名声は、リュート国では余すところがないと言っても差し支えのないほど轟き渡っている。
リュート国全兵士を統率する最高峰の位、総長。
その補佐を務める副総長。
リュート国の最先端技術を駆使して広く深く情報を集め、管理する情報隊隊長。
その次に続いて高い位である前衛隊を統括する前衛隊隊長がスバル、また位としては前衛隊隊長と同格である後衛隊隊長を務めるのがカズキである。
万単位でいる兵士から見れば、とてつもなく高い位を持つのが、まだ若干十六歳であるスバルとカズキなのである。有名になるのも自然の摂理かもしれない。