ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

5非日常 ( No.5 )
日時: 2009/10/20 18:55
名前: 仲矢真由乃 (ID: dCDhnHOn)

流石に渾身の叫びは内部まで聞こえたらしく、扉が内側から開いた。不可抗力で、スバルは扉に頭を叩かれる。

「痛ッ!?」
「ん?」

中から顔を出したのは、二人と同年代ぐらいの少年だった。全体的に緩く、そこそこに整っている顔立ち。ボサボサの茶髪。
そして、リュート国ではありえない、オレンジ色の瞳。
そんな不思議な要望をした少年は、扉を開けた時の予想外の衝撃に首をかしげる。しかしあまり気にせず、何もせずへらへらと笑っていたカズキを目に留めた。

「お客さんですかー?」
「そうなんですー」
「おー歓迎します、いらっしゃいいらっしゃい」
「どもども」

少年とカズキが連れ添って店内へと入る。パタンとドアを閉められて、スバルはナチュラルに取り残された。

「……」

酷く空しい気分になってしまったスバルは、そのまましばらく突っ立っていた。すると、再び扉が開いてカズキが出てくる。

「スバルも入りなよ」
「……そうかい」

言及する気力もなにやら不可思議な力で吸い取られてしまい、スバルはおとなしく入店した。