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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: *戦場のジュリエット ( No.18 )
- 日時: 2009/10/18 10:14
- 名前: ☆:.:苺羅:.:☆ ◆RP4/4zHHbo (ID: fQl/VR.0)
- 参照: 時は昭和の戦時中、暗黒の時代の中で一生懸命生きた少女が居た——by戦場のジュリエット
*06
大和が徴兵されてから、私の家に居るのは春代、花、私の女だけとなった。
食べるものもあまり手にいれれなくて……着る服でさえ、数えるほどしか手に入れることができなかった。
食べ物を配給してくれる切符があった。
私はそれをもって、芋をもらいにいこうとおもった。
そのときである。純也が道端に立ち尽くしていた。
私は手をふって、傍へ駆け寄る。
……心なしか純也の元気がないようにみえた。
純也は1枚の紙に視線を向けながら、呆然としている。
私はその紙を覗き込んで、目を疑った。
だってそれが、純也の父の戦死の知らせだったから。
純也は涙が零れていた。隣に立っている凛子も涙ぐんでいる。
私は何も声をかけることなんて、出来なかった。
道端から見える、駅のプラットホームでは今日も誰かが徴兵されている。
それを国旗を振って「万歳」といって、見送る住民達。
「もう……やめて……こんなの……こんなの……もういやよ……」
凛子が自らの顔をおおって、その場に座り込んでしまった。
「……俺の……親父は……ちゃんとお国のために奉公したんだ! ……俺、特攻隊に志願するよ!」
「えぇ!?」
純也の言葉にあまりにも驚き、私と凛子の声が重なった。
「俺も……鬼畜米英に……親父の敵を討ってくる!」
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