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Re: 戦場のジュリエット ( No.19 )
日時: 2009/10/19 10:36
名前: ☆:.:苺羅:.:☆ ◆RP4/4zHHbo (ID: fQl/VR.0)
参照: 時は昭和の戦時中、暗黒の時代の中で一生懸命生きた少女が居た——by戦場のジュリエット

*07



 さっきの言葉が嘘であることを……聞き間違いであることを祈った。

 「あの……聞こえなかった。もう1回言って」

 「だから、鬼畜米英に親父の敵を討ちに行くんだ!」

 やっぱり聞き間違いじゃなかった……。

 私の体は小刻みに震えだして、恐怖感が襲い掛かってくる。

 特攻隊……神風特別攻撃隊は、敵機に自分が乗っている飛行機を突っ込ませるのだ。

 いわば、今までの戦法で1番戦死率が高かった。

 戦争末期に入った1944年ごろから、始まったのだ。

 それを聞いた凛子が、黙ってはいなかった。

 「嫌よ! 純也君と私は学校を卒業したら結婚するって約束だったじゃない! 
 なのに……純也君はいってしまうの? 
 私、純也君のいない世界なんて、考えられない!  もし純也君がいなくなったら……私も死ぬわ」

 凛子の力説がどうやら通じたのか、純也は諦めた。

 「そうか……凛子がそこまでいうなら諦めるよ。
 俺は凛子のことが大事だから……」

 そういって純也は凛子を強く抱きしめた。

 見ていたくはなかったけど……。

 ——次の日。

 私は縁側でまったり休んでいた。今なら空襲も来ないだろう。

 その時、外から純也の顔が覗いた。

 「……入って良いか?」

 「……どうぞ」

 純也は私の隣に座った。今日は凛子はいない。

 「お前っ! 紅茶なんて飲むのか、ハイカラだな」

 「これ、貴方が誕生日にくれたものじゃない」

 「おぉそうだったそうだった……」

 「……で、今日は何のようなの?」

 私がそういうと、純也は急に顔が引き締まった。

 「あぁ……実はな、俺明日徴兵されることに決まったんだ。
 凛子の前ではあぁ言ったけど……凛子にはなかなか本当のことをいえなくてさ。
 明日から俺がいなくても、凛子にはこのことは言わないでくれ」

 「え……」

 愛しい純也が……いってしまう。

 そんなのいやだよ! ……って私が言ってもしかたがなかった。

 「そう、わかったわ」

 これだけしかいえなかった。