ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: 戦場のジュリエット ( No.20 )
日時: 2009/10/19 12:14
名前: ☆:.:苺羅:.:☆ ◆RP4/4zHHbo (ID: fQl/VR.0)
参照: 時は昭和の戦時中、暗黒の時代の中で一生懸命生きた少女が居た——by戦場のジュリエット

*08



 朝。私は軍需工場へ行く準備をして、外を出た。

 これからどうやら、学校の授業ではなく、戦争に必要な道具を作るために工場へ行くことになったらしい。

 その時、桜の木の下に1人の少女の影がみえた。

 ……凛子だ。私は凛子のほうへと向かった。

 「凛子……っなにしてんの?」

 「桜じゃない、見ての通り純也君を待ってますのよ」

 「ふぅん……」

 私は言えなかった。純也はもう徴兵されたんだって。

 「あ、あのさ、純也君は今日風邪で休みなの」

 「え……? 本当っ!? じゃあお見舞いに……」

 「いいから! もう遅れるよ?」

 私は凛子を追い抜いて、歩き出した。

 仕方なく凛子はついてきた。

 「ねぇ……桜」

 「何?」

 「桜って純也君のことが好きなのでしょう?」

 「なっ!! なんで……なんでそれをっっっっ!」

 「見て分かるわよ。でも無駄よ……私と純也君は結婚するのだからっ!」

 そういって凛子は高笑いした。

 1945年3月9日。

 翌日……悲劇が訪れるとは知らずに。