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Re: 戦場のジュリエット 続編スタート! ( No.56 )
日時: 2009/10/26 14:19
名前: 苺羅 ◆RP4/4zHHbo (ID: fQl/VR.0)
参照: 時は昭和の戦時中、暗黒の時代の中で一生懸命生きた少女が居た——by戦場のジュリエット

*03


 「お待たせしました、ホットケーキのコーヒーセットと紅茶セットでございます」

 エプロンを身にまとった女性店員がやってきた。

 俺はコーヒーを一口飲む。

 ほろ苦い味が口の中に広がった……。

 苦い、苦すぎる。でもそれが美味しい……。

 そしてフォークでホットケーキを刺して食べた。

 「あまぁい♪ この紅茶すっごくおいしーい」

 向かいで凛子がそういった。

 甘い……紅茶は甘い……。

 まるで君の恋のようだね。

 そして俺は苦い……まるで自分の恋のようだ。

 店から出ると、俺たちは凛子の要望で洋服屋へ向かった。

 「私、これがほしいぃ!」

 凛子が目にした服は、水色のフリルがついたモダンガールのようなワンピース。

 「おぉいいんじゃないか?」

 「ありがとっ。店員さ〜ん、これにしまぁす」

 凛子がさっそく店員の元へ服を持っていった。

 もちろん金を出すのは俺である。

 洋服屋をあとにした俺たちは、家路へと向かった。

 あともう少しで家に着くというときに、愛しい人の姿があった。

 「桜っ!」

 「……あら、純也君こんにちは」

 「何してんだよ?」

 「水やりをしているの、貴方達は?」

 「俺は……喫茶店と服屋にいってたんだよ、な? 凛子」

 「えぇ♪ みてみて、この服ねー純也君に買ってもらったの。いいでしょう?」

 凛子は早速着たワンピースを見せびらかした。

 「よかったわね、凛子」

 「え……う、うん」

 桜にもっと羨ましがってほしかったのか、凛子は不機嫌な顔をしている。

 俺と凛子の親父は大会社の社長で、家もかなりの金持ちだ。

 それと比べて桜の親父はただのサラリーマンで家も庶民並。

 そんな俺たち3人は昔は毎日のように遊んでいた。

 でも親父は俺と桜をくっつけさしてくれなかった。

 金持ちと庶民は結婚するな、という随分古い考え方をもっていたからだ。

 親父は明治の末生まれだが、その親父……つまり俺のじいさんが江戸末期生まれ。

 その頃は身分違いの恋なんて考えられなかったから、こういう考えがまだ俺の家系には身についてるのだ。