ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GRANDIAS ( No.1 )
日時: 2009/11/07 08:09
名前: Ruin ◆o3vr1rJiTI (ID: LpcnUUvD)

今日は晴れだった。
太陽の光が中庭を照らし、木が影を作っている。
デュランダルは、その木陰に座っていた。
妻であるレミスの出産が城の中で行われている為、デュランダルにはこうして時間を潰す他なかったのである。
あと、二時間程度で出産が終わるらしいが、まだ三十分しか経ってない。
時計を確認するが、時間は過ぎない。
デュランダルは、眠る事にした。
だが、その時誰かがデュランダルの名を呼んだ。

「デュランダル様。デュランダル様!!」

デュランダルはゆっくりと目を開いた。

「誰かと思えば・・・ナーシェじゃないか。どうした?」

デュランダルはナーシェに訊ねた。
ナーシェは満面の笑みを浮かべている。

「生まれました!」
ナーシェは言う。

デュランダルは首を傾げた。

「それは・・・お前が飼っている蛙の子供か?」

デュランダルは訊ねる。

ナーシェ・クォイスは城一番の変わり者だ。
ミミズを沢山集めて花束にしたり、団子虫で巨大な団子を作ったり・・・・・・。
蛙の子供が生まれると「生まれた〜!」と叫びながら城中を走り回ったりする。
それが一日だけならまだ許せるが何日も続くと最悪だ。
年に一度は必ず、城下町の住民から煩いとの苦情が来る。
ナーシェは、デュランダルがそんな事を考えているのかと悟り、首をぶんぶん振った。

(もげそうな速さだな・・・・・・)

デュランダルは首を振っているナーシェを見てふと思った。

「違いますッ!!レミス様の子供・・・赤ん坊が生まれたんです!!」

ナーシェは、デュランダルに大声で言った。
デュランダルは耳を疑った。

「・・・何が生まれたって・・・?」

デュランダルは再度訊ねる。

「赤ん坊ですけど。なにか?」

ナーシェが言うとデュランダルは城内へと走った。
ナーシェも後を追う。
デュランダルは近くにあった階段で三階へ上がり、レミスの居る奥の部屋へと走り、中に入った。

「レミスッ!!」

デュランダルは、レミスの名を呼んだ。
レミスは声が聞こえたため、閉じていた目を開く。
レミスが目を開くと、デュランダルは既にレミスの隣に居た。

「デュランダル。・・・生まれたわ、私達の子が」

レミスは言う。
デュランダルはレミスの手を取った。

「赤ん坊・・・見たのか?」

デュランダルが訊ねると、レミスは首を横に振った。
デュランダルはため息をつくと、レミスの手をそっと置き、ゆっくりと放した。

「俺が見てくるよ」
「頼むわ」

レミスは笑った。
デュランダルは、部屋の戸を開ける。
すると、何かがすっ飛んで来た。

「ありゃあ?!」
「うおぉっ!!」

二人は倒れた。

「痛ぇ・・・こら、ナーシェ」
「あうぅ・・・ごめんなさいぃ」

ナーシェは謝った。
そして二人は立ち上がる。

「気をつけろよ。わかったか?」
「はい」

今ので完全に馬鹿頭が刺激されたようだ。
デュランダルはナーシェの服を掴み、引っ張った。
そして耳元に口を寄せる。

「ナーシェ。赤ん坊は何処に居るんだ?」

デュランダルは小声で訊ねた。

「ディスペルクの所に居ます〜」
「有難う」

デュランダルは礼を言うと、部屋を出た。
ディスペルクの居る部屋は四階の奥だ。
デュランダルは近くにあった階段を上りディスペルクの部屋へと向かった。
四階への階段を上りきり、左折して直進。
ディスペルクの部屋へと辿り着いた。
デュランダルは中に入った。