ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GRANDIAS ( No.2 )
日時: 2009/10/26 17:06
名前: Ruin ◆o3vr1rJiTI (ID: LpcnUUvD)

中に入ると、そこにはディスペルクが居た。
相変わらずパソコンを打っている。
城下町や隣国から来る病人・患者の状態や、今日生まれた赤ん坊の情報等を記録・保存しているのだろう。
「ディスペルク」
デュランダルはディスペルクの名を呼んだ。
ディスペルクはデュランダルを見る。
「デュランダル様でしたか。赤ん坊を見に来られたのですか?」
ディスペルクは無表情でデュランダルを見ながら問う。
「そうだが・・・何か問題があるのか?」
デュランダルは答え、問う。
ディスペルクは、ため息をつきながら立ち上がった。
「いえ。特にはありません。ですが、気を悪くしないで下さい。・・・こちらです」
ディスペルクは歩き出した。
デュランダルは後に続く。
コンピューターが沢山並んでおり、足元はコードだらけだった。
机の上にも、多くの人のデータが入っているコンパクトディスク(CD)が高く積まれている。
そのため薄い魔力のシールドが張ってある。
このシールドが無ければ、今ごろどうなっているだろう。
想像がつかなかった。
奥の扉を開き少し歩くとディスペルクが立ち止まった。
「あの中の赤ん坊です」
ディスペルクは指差した。
部屋の奥に立派なカプセルがある。
デュランダルはカプセルに近づき、中を見た。
だが、最初に出た言葉は・・・明らかに尋常ではなかった。
「右手が・・・無い・・・・・・?!」
デュランダルは表情を驚きのそれに変える。
ディスペルクが相変わらず無表情のまま、後ずさったデュランダルの前に立つ。
デュランダルはもう一度赤ん坊の前へと戻った。
「右手の素材が足りなかったと思われます。ですが、魔力、及び体力・知力も相当なものになると思われます」
ディスペルクは言った。
デュランダルは何も言わなかった。
・・・・・・言えなかった。
「ですが・・・僕の力が及ばず、このような事態を招いてしまったこと、深くお詫び申し上げます」
ディスペルクは深く頭を下げた。。
デュランダルはディスペルクを見る。
「お前に罪は無いさ。お前だけでなく、他の者もな」
「そのお言葉だけで十分です。有難うございます」
ディスペルクは言った。
デュランダルは部屋を出ようとする。
だがディスペルクはデュランダルを呼び止めた。
「デュ・・・デュランダル様!!」
ディスペルクの声でデュランダルの足が止まる。
「・・・何だ?」
ディスペルクは走り、デュランダルの前に立った。
「あの。・・・レミス様から、預かり物が・・・・・・」
ディスペルクはポケットから預かり物を出そうとした。
だが、デュランダルは歩き出した。
「後にしてくれ」
きっと赤ん坊の事で頭がいっぱいなのだろう。
だがディスペルクはデュランダルの手を掴んだ。
これだけは・・・必ずデュランダル様に・・・・!!
「だ・・・駄目です!!お願いしますッ!!」
デュランダルは、ディスペルクが取り乱すのを初めて見た。
ディスペルク自身も取り乱すのは初めてで戸惑いを隠しきれなかった。
「・・・・・・わかった」
デュランダルは言った。
ディスペルクはポケットから封筒を取り出し手渡した。
そして、元の部屋へと戻り、ディスペルクはパソコンを打ち始め、デュランダルは、部屋を出た。