ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GRANDIAS ( No.5 )
日時: 2009/10/26 17:13
名前: Ruin ◆CVuGFbtcTc (ID: LpcnUUvD)

シェーザの里は、神都エウレディアスの西門を出てしばらく行ったところにある。
道のりは長いが、<M>が現れた今、そんな事を言っている場合ではない。
一刻も早く、ここから遠ざかる事が最優先だ。
かといって、無理をすれば体調を崩しかねない。
シエラは神都を出る前に長旅の準備をする事にした。
神都の西側にはあまり敵が居ないと言われているが、戦いの経験が無いシエラには、いくら相手が弱いといえども倒せるとは限らない。
最近は変種のモンスターも出るのだという。
シエラは頭の中で情報をまとめながら武器屋に入った。
中には沢山の武器が並べられている。
シエラは店員に声をかけた。
「あの。すみません」
店員は嫌そうな顔をしたが、シエラの顔を見ると表情を変えた。
「し・・・シエラ!?」
「あなたはもしかして・・・ミロ?!」
お互い、久しぶりの再会に驚く。
「ミロ。何してるの?!」
「シエラこそ、どうしてここに?子供を三人も連れて・・・。しかも内一人は赤ん坊じゃない!」
ミロは驚く。
シエラは、「赤ん坊」という言葉を聞いて本来の目的を思い出した。
「私ね、デュランダル様とディスペルクに頼まれて、ここを出る事になってるの。・・・で、シェーザの里に行かなきゃならないから、準備をしないといけないと思ってね」
シエラは言った。
ミロはシエラの目を覗き込む。
「シエラ・・・急いでるね」
「さすが。シェーザの民ね」
「・・・私も同行させてもらおうかな。店長休みくんないから里帰りできてないんだ。・・・いいでしょ?こう見えても戦いの経験あるんだよ」
ミロは言う。
シエラは少し考えてから頷いた。
ミロは急いで店長の所へと走って行った。
そして戻ってくるときにはちゃんと防具を装備し、武器を人数分、そして回復アイテムなどを複数持って戻ってきた。
「ただいま〜!これ、シエラの武器ね。それからこのちびっこには杖をあげるね。結構知識有りそうだし。それから魔術書と地図。その他諸々あるから使ってね」
ミロは言った。
シエラはミロに礼を言うと、武器を受け取った。
「じゃあ。行くわよ」
シエラは言った。
五人は武器屋を出ようとした。
だが、誰かに呼び止められた。
「シエラ」
シエラは振り返った。
そこには、見知らぬ一人の少女が居た。
呼び捨てされているのだから、きっと知っている人に違いないだろう。
「何かしら?」
「これを持ってお行きなさい」
少女は光るペンダントを五つ差し出した。
シエラは礼を言って受け取る。
「あなた・・・名前は?」
「久しぶりだし覚えてないのも無理ないわ。・・・私はミト。クロスカティアの魔術師」
ミトは言った。
シエラは何も言わず武器屋を出た。
外に出てミロが口を開く。
「名前が似てる人って本当に居るんだ〜」
ミロはあくびをした。
シエラはミトの事を思い出そうとする。
シエラはクロスカティアの出身だ。
知っていてもおかしくないが、思い出せない。
「久しぶりだし」という所から何年も会ってないという事だけはわかった。
だが・・・魔術師になりたいという夢があった友達や、魔術師の子供だった友達は・・・居なかったような気がする。
気がするだけなのかそうでないのかは定かではないのだが・・・。
そんな事を考えていると頭の中がごちゃごちゃになりそうになった。
シエラはしばらく考えたあと、その事を考えるのをやめた。
シエラはさっき貰った光るペンダントを配った。
そんな事をしている西門が見えた。
「もうすぐ出発だね」
ミロが言う。
シエラは門番に声をかける。
「神都の民を守って」
「そのお言葉、有難うございます。事情は伺っておりますので、どうぞお通り下さい」
「有難う」
シエラが礼を言うと門番は頭を下げた。
こうして五人は、神都エウレディアスを後にしたのだった。