ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: GRANDIAS ( No.8 )
日時: 2009/10/27 17:05
名前: Ruin ◆CVuGFbtcTc (ID: LpcnUUvD)

シエラは目を覚ました。
暗い・・・洞窟なのだろうか。
やはりむやみに魔法を使うものではないとシエラは改めて思った。
ミロも目を覚ます。
ヴェルフェルミナとキスティスも目を覚ました。
ロアステイルも何事も無かったかのように眠っている。
「ミロ・・・キスティス、ヴェルフェルミナ。大丈夫?」
シエラは訊ねた。
皆は頷く。
キスティスが歩み出た。
「シエラさん」
シエラはしゃがみこむ。
「何?」
キスティスはシエラに飛びついた。
シエラは訳も分からないまま抱きとめる。
「シエラさん。パパは死んだの?パパは死んでしまったの?!」
キスティスは泣きながら訊ねる。
「死んでいないわ。・・・どうしたの?」
シエラは訊ねた。
真実を伝えた覚えはない。
ミロが教えた・・・筈はない。
ヴェルフェルミナもこの事は知らない。
何故・・・・・・何故こんな事に・・・・・・。
「私ね、夢を見たの。声が聞こえてね、振り向いたらね、ちょっとだけパパが見えたの。けどね・・・だけどね。消えたの。だから暗い所でね、座ってたの。そしたらね、また声がしたんだ。だから声のする方を向いたの。でもね、居なかった。けどパパは私に言うんだ。弟を守ってって。でも、その前にね、「俺は死んだ」って言ったの」
キスティスは言った。
シエラは軽く笑った。
「そう」
シエラはそれしか言えなかった。
それ以上言えば、この少女は真実を知ってしまう。
今はまだ早すぎる。
真実を知るのは・・・・・・そんな事・・・・・・。
「大丈夫。パパは元気よ。キスティスが心配するとパパが悲しむよ〜!」
シエラはキスティスに言った。
キスティスは笑った。
「うんっ!」
シエラも笑って見せた。
二人は立ち上がった。
シエラはミロを見る。
「ミロ。ここが何処だか分かる?」
シエラは訊ねた。
ミロは記憶を探る。
「あたしの記憶に間違いがなければ・・・ノームの滝だね」
「ここが・・・・・・」
ノームの滝。
ここは、大地の精霊が住んでいるとされる有名な滝だ。
旅人も一度は寄ると言い、ここにこれなければ真の旅人にはなれないと言う者も少なくない。
この時点で五人は寄った事になるのだが、今はそれ所ではなかった。
「出口何処?ミロ、知ってる?」
シエラは訊ねる。
ミロは岩の上に立った。
そしてにやりと笑い見下すように見る。
「ははは。・・・私がこの滝の出口を知らないとでも思っているのか?」
「・・・じゃあ・・・!!」
シエラは希望の光が差し込んだように思えた。
しかし、ミロはとんでもない事を言った。
「俺様がこんな所の出口なんて知るかぁ!期待すんな、輝かしい目で見んな!俺が地図を見た話なんて聞いた事ないだろ!」
ミロは言う。
(ここ意地張るとこじゃないって)
シエラは思った。
「でも、見たことはある。とりあえず、私についてきて。
光の臭いぐらい分かるよ!」
ミロは言った。
本当について行って良いものなのか迷ったがシエラはついていくことにした。
進まないよりましだ。
「よっしゃ〜!行くぞ〜!」
ミロの声とともに五人は出発した。
しかし、ノームは五人をただじゃ見逃してくれなかったのだった。