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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 4 ( No.4 )
- 日時: 2009/10/24 21:42
- 名前: 仲矢真由乃 (ID: 1YHdpXpY)
「コンピューターという物は中学生が作れるような代物だったか?」
「違うだろうな」
いやはや、晶ちゃんはやはりすごい子だ。
私もよく桜の蕾にはお邪魔をするので、目立つ子供達の名前は大体覚えてしまっている。
晶ちゃんというのは、話から見てとれる通り、「桜の蕾」に在宅している少女である。両親が交通事故で亡くなったらしく、7,8歳の頃からあそこにいる。
しばらくはほとんどしゃべらなかったらしく(大抵の子はしばらくそうなのだが)、どんな子か特徴が掴めなかった、と稲田は言っていた。
彼女の特異性を知ったのは、電子レンジが壊れた時らしい。
結構に年季の入った電子レンジだったのだが、5年ほど前、遂におじゃんになってしまった。その頃はまだ貯金も少なく、新しく買うべきか否か悩んでいたらしいが、そこで晶ちゃんが才能を発揮した。電子レンジを軽々と解体して、再び組み立てたのだ。しかも、稲田が電源を付けてみると、以前よりも調子が良くなっていた。
その後も、彼女は冷蔵庫、テレビ、エアコン、洗濯機などなど、多種多様な電化製品を直していった。勿論稲田は大助かりである。
説明になっているとは言い難いが、まあ、つまりはそういう子なのだ。
「どこからかは知らないが、結構前から壊れた基盤とかを拾いはじめていてな」
稲田が事の発端を語り始めた。
「晶のことだから、何か作るんだろうとは思っていたが、まさかコンピューターを作るとは思っていなかった。学校で解体とかしてないといいんだが」
晶ちゃんなら有りうるのが怖いところだ。
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