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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 6 ( No.6 )
- 日時: 2009/10/26 21:04
- 名前: 仲矢真由乃 (ID: N7y5mtYW)
「ところで、今日はそれを言いに来たのか?」
「いや、話が逸れてただけだ」
その割はえらく重大な事柄だったのだが。
「じゃあ、何だ? また手伝いに行けばいいのか?」
「いや、客として来てほしい」
「客?」
子供達の世話の手伝いとして招待されたことは幾度もあったが、客人としては初めてだ。
「昨日、貴博から電話があった」
「貴博君か、懐かしいな。今いくつだ?」
「もう21さ」
時の流れとは早いものだ。貴博君が入館した時はまだ8つだったのだが。もう13年も経ったのか。
「もうあれから13年か」
「本当だな。あの頃は右も左も分からずとにかく必死だった。初めての入館者が貴博だったのは、幸か不幸かどっちだったんだろうな」
難しいところである。稲田曰く、「13年やっているが、貴博ほど扱いの難しい子はいなかった」らしい。そんな子が初めてだったというのは、良い経験だったと喜ぶべきか、いきなり大変だったと嘆くべきか。
「どうだろうな。それで、貴博君がどうした?」
「遂に歌手のプロデビューが決まってな」
「ぶっ」
本日3回目である。今日は一体、稲田に何回驚かされば気が済むのだろうか。
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