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Re: Monotone world ( No.1 )
日時: 2009/10/24 19:18
名前: 月乃 葵 ◆BkB1ZYxv.6 (ID: xYJBB/ey)

序章

 「優希ユウキ……本当に抜け出す気なの?」
 銀色のストレートロングの髪に水色の瞳の少女、刹那セツナが言う。優希と呼ばれた少年は黙って頷く。銀色の髪に赤と水色の瞳……瞳の色は奇麗なのに輝きが無かった。
 ため息をつく刹那。バタバタと走る音と優希を呼ぶ声。黙って刹那の手を引いて走り出す優希。あまりにも突然だったため転びそうになる刹那。周りを気にしながらも出口に向かって走る優希と刹那。
 「……完全にバレた。ドアの外で待ち伏せしてる」
 小さな声で呟く優希。刹那は「あーあ。さっさと家から出ないからだよ」と言う。優希は「嗚呼。強行突破しかありませんかね」と言う。
 ドアに手をかける優希。確かに大きいドアだが、いつもなら簡単に開くはずなのだが、今日はびくともしない。
 「閉じ込められましたね」
 優希は焦る様子も無く言うが、横に居る刹那は大慌てで「諦めた方が……」と言う。優希は慌てる刹那を横目で見て「魔法使う。姉さんは下がってて」と言う。

 「破壊の協奏曲ラプソディー
 どこからか取り出したフルートを取り出して、吹き始める優希。黙って耳を塞ぐ刹那。爆音と共にドアが吹っ飛ぶ。
 ドアが吹っ飛んだことを確認して、フルートを消し、走り出す優希。慌てて優希に続いて走り出す刹那。
 「王子……お戻り下さい」
 金色の髪を揺らし優希の前に現れるのは青い瞳の少年……月詠ツクヨミ。優希は舌打ちをして刹那の手を引っ張り、そのまま真上に飛び上がる。
 「捕まえてみなさい。まぁSランクなんか怖くありませんけどね」
 それだけ言い残して飛び去る優希と刹那。月詠は唇を強くかみ締め、拳を握り締める。
 「餓鬼め……調子に乗りやがって……」