ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

一話 ( No.1 )
日時: 2009/11/16 19:57
名前: 羽夜 ◆RZNKdBQtkc (ID: xYJBB/ey)

 光を求める闇の人々——。
 世界には、三つの人類が居た。
 闇人、聖人、そして人間。
 聖人と闇人は対立をしており、人間は聖人の味方につく。無力であり、そして弱者ながらに。
「ああっ、何でアンタが此処に居るの!」
「私が貴女の世話係だから」
 灯りがついている高層ビルが建つ、夜の空を飛んでいる、十五歳位の二人の少女が居た。
「世話係!? そんなの聞いてない!」
「当たり前でしょう、お父様言ってないんだから」
 一人は深い藍色のショート、もう一人は同じ藍色のツインテールの髪型の若干吊り上っている赤い眼の二人は、夜の空を軽く舞っていた。髪色と同じマントを羽織り、二人とも、黒のセーター、そしてベージュの七部丈のジーンズ、そしてブーツまで同じ物を着用して。二人の名前は暗紅アンク、もう一人は闇紅ヤミベニ。前者はショート、後者はロングの髪型の方だ。二人共闇人であり、そして名前も闇人らしい。否、だから名前も闇人らしい、と言った方がいいか。
 二人は、只今“光”を刈ってきたばかりだ。だから闇世ヤミヨに帰ろうと夜の空を飛んでいる。光とは、闇人や聖人として必要でなく、人間として生きる場合に必要となる物。即ち——命だ。上界では光が生成され、そして命となる。それを神がやっている。たとえ死神シニガミであろうとも。だが今の神は命神メイガミだが。
「しっかし今日は少なかったなあ、光」
「仕方ない、最近は要らない光が少ないですから」
能天気に暗紅が放った言葉に、闇紅が敬語であるのか敬語で無いのか分からない口調で言った。
「やっぱ命神だからかなぁ?」
「死神も少しは協力してるでしょうよ、きっと」
 そして二人は会話しながら夜の空を飛び、そして空に消えていった。下界、つまり地球に見えない所に上界はあるのだ。そんな物なのだ、下界と上界とは。

 「そう言えばっ! あなたの名前は?」
上界の道で、暗紅が思い出したように言う。闇紅は少し呆れながら言った。
「何を言い出すかと思ったら。まあ、自己紹介はこれから必要でしょうしね。闇紅と申します」
「闇紅って呼んでいい? 闇紅って呼んでいい!?」
「耳の隣で大声出さないでよ! 呼び方はどうでもいいですから!」
闇紅は、耳を抑えながら暗紅に怒る。暗紅はそれを無視して「宜しく、闇紅!!」と言っている。それを見た闇紅は、少し怒りそうになったのを抑え、一つ溜息を吐いた。

 そして、二人の少女は今の場所よりもっともっと上に行った。上界の闇世に向かう為に。