ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- 四話 ( No.7 )
- 日時: 2009/11/16 20:02
- 名前: 羽夜 ◆RZNKdBQtkc (ID: xYJBB/ey)
「あーあ。グチャグチャ。これを片付ける聖人は可哀想だね!」
暗紅は死んでいる人間を見ながら、笑って言う。
「……いつかはやるんですよ?」
「お父様、死神にはならないでほしいね」
暗紅は悲しい笑顔でそう言った。勿論闇紅は分からない。暗紅は後ろを向いているから。暗紅を見て分かるものと言えば、悲しそうな背中だけ。それを見ると、闇紅は、優しい笑顔で、
「……そうですね」
と言った。
闇人であっても、聖人であっても、“人”と言う物には変わりないのだ。只、地位が違うだけである、だから、勿論人間を殺すのも嫌な訳であって。
聖人、闇人、人間は“命”だけが違うのだ。即ち、同じ命であっても、その材料は違う。その体に適した命で無いと拒否反応を起こし死んでしまう。人間は光、聖人は天、闇人は魔の命を持っている。これらは真神様がくれた宝物。ならば体は宝箱。そう、闇人は宝物を壊しているのだ。人としても殺すのは嫌だ、宝物としても壊すのは嫌だ。正に、罰当たりな事をしているようなものなのだ。
「さて、此処は人目も無いし、放って置けば聖人が来ますかね」
「そうだねぇ……と言うか、お腹空いた」
「そうですね。此処の、食べますか?」
闇紅は言う。此処の、と言うのは、地球の事を指している。地球の食べ物は美味しい物なのだ。流石人間、食に関しては凄い人類だ。まあ、料理を作らずに食べるだけの人間も勿論居る訳だが。
「そうする! お父様に言っておくね! 何処行く?」
「んじゃあ……ファミリーレストラン、とか」
闇紅は、人差し指を立たせながら言った。それを見た暗紅は、目を開き、喜びながら大きい声で言う。
「ファミリーレストラン! 行くよ!」
そう、暗紅は下界のファミリーレストランと言う場所が大好きなのだ。美味い、安い、選り取り見取り、と言う魅力に惹かれたのである。ただそれだけなのだが。
「下界人って、ある意味凄いですね」
「嗚呼、光だからねぇ。一番いい命だし? 発想力があるんだっけ」
暗紅は、自分の中の精一杯の知識を振り絞って言う。殆ど疑問形なのが残念だが。
「それじゃあ……真神様に感謝ですね——」