ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

青葉闇の夜 ( No.1 )
日時: 2009/10/28 18:38
名前: 山石 (ID: 0GqDOT6V)

序章 回想



 窓辺に足を掛ける君をぼんやりと見つめたまま、僕は立ち尽くしていた。
 さらさらの黒髪を風になびかせ、君は何故か哀しい表情を浮かべていた。

「あんたなら、きっと、分かってくれると思ったんだけどな」

 そのの言葉の意味が分からず、何も言えないまま、ただ君を見つめるしかなかった。
 君はもう一度目を細め、四角い空へと視線を戻し、小さくぽつりと呟いた。

「じゃあ、また。『あっち』でね」

 その瞬間、君は僕の視界から消え去った。
 今でも忘れることはない。
 そう、あの日、君は僕の目の前で死んだ。