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第二章 記憶 ( No.10 )
日時: 2009/10/29 07:22
名前: 架凛 ◆V3sV8pUxpk (ID: nujUYaTi)

 
 ライファの父カイスは、天才的な科学者であり、
 膨大な魔力の持ち主でもあった。
 「奇跡の水」の研究を始めたのも彼だった。
 それを知ったラファーロは、カイスを取り込もうとしたが、
 カイスは絶対に耳をかさなかった。
 そして………その命を狙われたのである。

 ガイアはおそれていた。
 女とは言えど、ライファはカイスの娘。
 相当の魔力を秘めているだろう。


 「ライファ。そなたは本当に国の民を守ろうと思っているか?」

 「え?も、もちろんです。」

 「ラファーロに復讐するためではないのか?」

 「そ、それは……。」


 ライファは少し口ごもりながら言った。
 憎しみがないと言えば嘘になる。自分の父を殺されたのだから。


 「復讐したいと思うのは……当たり前です!!
  でも、国の民を守りたい心も、ちゃんとあります。」

 「うむぅ……。儂がおそれているのは、そなたが憎しみに駆られ、
   自分の力を抑えられなくなることじゃ。
   ライファ。自分を保つことができるか?
   もしできると言うならば、後は自由にするがよい。」

 「……わかりました。ありがとうございます。おじいさま。」


 そう言うとライファは立ち上がった。
 ラファーロへの憎しみは胸に秘め、今は民衆を守ること。
 それだけを考えようとしていた。


 「私は、行きます!!」

 「行くがよい、ライファ。
   …………決して死ぬでないぞ。」

 「はい。」


 心配そうな顔だが力強い声を聞き、
 ライファは確かに王の風格を感じた。


 「第一戦闘部隊、出動!!」


 新たな決意を胸に、彼女は高らかに宣言する。


 これから起ころうとしている事を何も知らずに__________