ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

第二章 記憶 ( No.11 )
日時: 2009/10/29 18:23
名前: 架凛 ◆V3sV8pUxpk (ID: nujUYaTi)

 ライファは魔防服に身をかため、騎馬を進めていた。
 敵は海から、空から、地面から、あらゆる所から攻めてくる。
 時には魔術を行使し、突然現れることもある。
 いわゆるテレポートと言うものだ。

 先程、海沿いの街から、ラファーロ軍が現れたという情報を聞き、
 まるで風になったような速さで向かっている。


 (これ以上誰も失いたくたい。)


 ライファは強い意志で進む。
 そこに、一人の青年が声をかけた。


 「ライファ、大丈夫か?」


 話し掛けてきたのはハーディ=フロストという男。
 幼なじみのハーディは王以外で唯一ライファを名前で呼ぶ者である。


 「な、何がですか?」

 「いや……。何か不安そうな顔っていうか……。」

 「…………!!」

 
 ライファはその蒼い瞳を見開いた。
 ハーディには長く一緒にいるせいか、心を読まれている気がする。
 ライファは少し悔しかったりもしたが、なぜか嬉しいような気もした。
 

 「じ、実は…………。やっぱり何でもないです。」

「なんだよ。途中まで言って気になるじゃんか。」

 「なんでもないです〜!!」


 ライファは怒ったように言った。
 
 本当は、ハーディが言った事は当たっていた。
 ライファには自分の力を抑えきれる自信がなかった。
 祖父の言葉を聞いてその不安はむくむくと膨らんでいったのだ。
 しかしライファはそれを誰かに言ったりはしない。
 それは弱みを見せる事になる。姫としての威厳を失うことにも通じる。

 「そうか…。ならいいんだけど。何かあったら俺に言えよ。」

 「………はい。」


 ライファが渋々という感じで答えたその時、
 目指すべき場所から火の手があがった。


 「まずいです。急ぎましょう!!」


 部隊は更にスピードをあげ海沿いの街を目指す__________