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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: “Variant” ( No.3 )
- 日時: 2009/11/01 09:42
- 名前: 犬野ミケ ◆0Qq5wEkHXo (ID: tcDaiqqk)
序章
沃歴200年ほど、人類は完全に大地の覇権を明け渡した。手のつけられなくなった世界を、手に負えなくなった世界を。
文明を失い、栄華を手放す。人類に残された道は、唯一、それしかなかった。事実、人類は確実に衰退していった。
今や、残されているのはほんの僅か。全盛期と比べれば、それは芥子粒ほどと言っても決して過言ではない。町村が大陸に点在するほどとなっていた。
だが、その命も希望も、確実に潰されていくだろう。
新しい、ありとあらゆる生物の頂点に立つ王に。
人間が覇権を明け渡した、怪物に。
彼らは鋭い牙を持ち、硬い爪を持ち、何者をも弾き返す鱗を持っていた。更に凶悪で獰猛、人類にとっては未知の理解しがたい能力も持ち得ていた。大きいものから小さいものまで様々、付随する能力についても千差万別だった。故に、対抗策が定まらない。
数千年間、人類が培ってきた文化、力、その全てが圧倒され、否定されるが如く粉微塵に破壊され尽くした。あっという間に、呑み込まれた。
恐ろしい、まるで神話や御伽噺の類に出てくるような怪物を、人々は畏怖を込めてこう呼んだ。
“Variant”
それに由来し、今ではその怪物は〈ヴェリェント〉と呼ばれる。由来となった語、その意味は——————
——————異形
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