ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
- Re: 俺と世界の夢戦争〜Mind war〜 ( No.8 )
- 日時: 2009/11/21 00:08
- 名前: 十六夜 葉月 ◆Gl6JohbFiw (ID: A8w5Zasw)
war:6 両手に花は別名、両手に危険物 I
カーテンの隙間から差し込光が徐々に明るくなってきた。
「もう朝か……うう、眠い。ついでに頭も痛いなぁ」
ゆっくりと首を動かして時計を見ると、いつもより三十分も早く起きてしまったようだ。家の中に居てもする事は無いし、いつも遅刻気味だから今日は早く登校してみようか。そういや一時限目は英語だったよなぁ。あの先生の説明、長いし訳分からんから案外良く寝れるかもな。じゃ、朝食と弁当はコンビニで買ってこうかな。
決行しようと思った時、俺はとある重大な事を思い出した。そう、今日はいつもより早起きしている! ……ならばする事は決まっているだろう?
さあ法条選手、走り出しました!! あと五メートル、三メートル、おおっとここで法条選手、華麗な前転を決めてテレビのリモコンを掴みました!! そして勢い良く電源のボタンを押し、映ったー!!
「さて、次のニュースです。今日、大手IT企業、梓川システムの次期社長、梓川 沙織(アズサガワ サオリ)さんの就任式が午前、十時から行われるそうです。なお、この事について現社長の梓川 巧(アズサガワ タクミ)さんは……」
俺は何をしたかったのか、それは見ての通り、ニュースキャスターの水木 真里恵(ミズキ マリエ)ちゃんを拝んでいるのさ!!
ああ癒やされる。この笑顔は正に天使の笑顔だ!! 地上の女神だよ! いつもは睡眠を優先してしまってなかなか会う事は出来なかったが、早起きして良かった!! 三文、いや、三百万円の得だよ! ああ真里恵ちゃん、君の事をずっと見てるよだからこっちにもっと笑顔を振りまいてくれ!!
そして、他のキャスターに代わる頃にはいつも通りの時間になり、俺は慌てて学ランに手を突っ込んだ。
※ ※ ※
コンビニで買ったパンやらが入った袋を鞄にしまいつつ、俺は歩みを進めた。もう少しだ。この曲がり角を曲がったら、ずっと向こう、と言う程でもないが案外遠くの方に駅があり、八時三分到着の電車に乗って丁度良く俺を発見して飛びかかって来る、昨日の夜に俺を寝かせなかった極悪人、千歳をたっぷり問い詰めてやろう。と言ってもいつもあまり時間は無いからこりゃ昼休みに延長戦、って所かな。
「ふふふーん。なぁにブツブツ言ってんのさ。何の事だか知らないけど、勝負事でユキちゃんがあたしに勝つ事なんて永遠に有り得ないから延長戦なんてのは存在しないよっ!」
あれ? 電車は今着く筈では? もうどうでも良いですね。だって千歳だもん。今日も相変わらずのストーキングっぷりですよ。もう怒るを通り越して呆れます。いっそ警察に突き出して差し上げましょうか?
「美少女は主人公に朝一番に爽やかな笑顔で挨拶するのが世の中の鉄則だぞ。まぁそんな事はどうでも良い。昨日、結局夜に何をするつもりだったんだよ!? 高校生のくせに夜怖くて寝れませんでした、なんて事授業中に寝た時に先生に言ってみろ!? 一生俺は太陽が登っている内は人前に出れんぞ!?」
それを聞いた千歳は目を見開いて面食らったような顔になったが、すぐに表情を戻して、次は眉間に皺を寄せて考え事をしているような表情になった。
「ん? どうかしたのか?」
千歳は俺が声をかけてやっと我に返ったようで、慌てて取り繕うように早口で喋った。
「あ、いや、その、じゃあどんな風に挨拶すればユキちゃんは喜ぶかな? って考えてたんだけど、うん。あ、昨日さ、ユキちゃん昼寝したしょ? しかも制服のまま」
「ああ、まあしたが。だから何だよ」
別にそんなに昼寝した事がおかしいのか?
「やっぱり! 学ランの袖の部分、折れちゃってるもん。昼休みになったら直してあげるね。じゃ、いつも通り走りますか!」
俺は何か引っかかっるような気がしたが時間がないので、ひとまず保留にする事にした。
※ ※ ※
寝れる、と期待していた一時限目の英語は先生が腰を痛めて臨時で理科になったり、他の教科も俺に瞼を閉じる隙さえ与えずに授業は続き、昼休みである。眠気がピークに達しているのは言うまでもない。
「ユキちゃーん、起きて。少なくとも学ラン脱いで。また変な折り目ついちゃうよ」
「別に、クリーニングに出せば良いし……もう餃子は食べられないよパトラッシュ」
「意味分からん寝言言うなっ! あー、もう良い!! ニュー千歳様式ピコピコハンマーに粉砕されて永遠に寝てろっ!!」
え、ちょ、待って! 起きるから! 止めてぇぇぇえ!? あれ、俺また精神世界に飛ばされるフラグ立ってない?
