ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

〜桔梗と椿の恋想い〜1 ( No.1 )
日時: 2009/10/31 08:05
名前: ナガ (ID: W0MEbhZQ)
参照: http://kikyou&tubaki/1

出会いと,別れと、裏切りと、

禁断の恋心。


風が強く吹いている。
俺が手にしているこの手紙も、マントと一緒にはためく。

【雅様
 明日、真夜中により赤月家への討ち入りを開始致します。】

短い手紙だ。

雑にポケットにしまう。

一条雅。
この土地の、遥か昔からの大名、一条の者の子孫である。
その血を受け継ぐ者は、全国にちらばり、力をためつつある。
腕にある紋章は、椿の花。

その花の数だけ、一条家の者としての力の丈を表す。

細かく、乱雑に、しかし美しく。
雪の中に咲いた一輪の椿のごとく。

そんな剣術が軸となり、今日に至る訳である。


「また、戦うのか……。」

声に出して言ってみる。
聞く者も無しに。しかし呟く。

この風に思いを託して。