ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——電脳探偵部——  ( No.13 )
日時: 2009/11/01 14:45
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: u7zbXwTu)

あの日以来、あの来瀬さん親子はちょっとずつ距離が縮まり、DVを受ける事もなく、会話が増えてきているようです。
だけど、私達のデリート計画はこれで終わりではありません。
次は、「いじめ」と戦わなければいけませんでした。

「一色 青(いっしき あお)、南野 黄(みなみの きい)、緑葉 速美(みどりば はやみ)、水理 乃々(すいり のの)、村空 咲(むらぞら さき)、この五人組が来瀬朱音をいじめています」
曇先輩の長い説明が終わった。

私達は、この五人のデータが出ているパソコンの画面をじっと見る。
今、電脳探偵部の部室(あるいは使われなくなった備蓄倉庫)で来瀬さんからの第二の依頼を見ています。
いつもの制服でデスクの周りに集まっているのがこの光景。

「次はいじめね」
雨雲先輩がうでを組む。
「社会問題系の災難がよく降りかかるなぁー来瀬は」
空雷先輩がスクロールしながら言った。
「それが運命なんじゃないんですか?」
私が言うと全員溜息をついた。

「っていうか、一人の依頼主からバグを二個も受けるなんて、前代未聞よっ!」
「文句があるのならパスしてもいいんですよ。その代わり——もう二度と計画に名前が乗ることはないでしょうが」

曇先輩が雨雲先輩をたしなめる。
……なんか曇先輩が二年生で部長になった事を改めて実感させられる。
雨雲先輩が苦い顔をすると、曇先輩が喋りだす。
「今回のデリート計画はとっておきの証拠があります」

「証拠?」
私達全員の声が重なった。
「そう。とっておきの証拠を——」
そう言ってニヤリと笑う曇先輩。
私達は久しぶりに曇先輩の悪魔の微笑みを見て、一気に体温が下がってしまった……。

緊迫した空気……。
来瀬さんは教室の中央に地べたで座り、いすや机は周囲に退かされている。
一年A組のクラス板が逆光で光っている。
教室には全員と思われる人数が入っており、中央に来瀬さん以外にもあの五人組がいた。

一色 青——一色さんは背中の半分くらいの長い髪、クルンクルンのきれいなウエーブ、前髪をかわいく揚げて、長い髪のバージョンのポンパドールみたいな感じ。鼻が高く、顔立ちが整っている。

南野 黄——南野さんは前髪を真ん中分けし、黒髪サラサラのショート。肌が白く、白人並み。

緑葉 速美——緑葉さんはアシンメトリーな髪型。色は茶色。唇がふっくらしてて、顔立ちが整っている。

水理 乃々——水理さんは前髪パッツンで金髪の長いサラサラヘアー・空雷先輩と同じくらい不良で有名。目つきが鋭く、いつも眉間にしわを寄せている。

村空 咲——村空さんは前髪を斜めに下ろして、白い花のピンで止めている。髪は短い。目が丸く、少女マンガみたいで顔立ちは整っている。

この五人は雨雲先輩と同じくらいスタイルが良い事で有名だし、顔も良い。
だけど、今はそんな顔も台無しなくらい引きつって、みんな眉間にしわを寄せている。
みんな腕組みをし、来瀬さんを見下ろしている。