ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: ——電脳探偵部——  ( No.19 )
日時: 2009/11/03 13:36
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: u7zbXwTu)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2/index.php?mode=view&no=10918

「あのさ……今、いじめの真っ最中だよな……」
空雷先輩が言う。
「まぁそうだけど……」
私と空雷先輩が言った。
「疲れるぜ……」
そのセリフはみんな同じよ、空雷先輩……。

今、私達は一年A組の教室の前に来ています。
ドアを少し開け、マンガみたいに下から私、雨雲先輩、空雷先輩の順番に顔を出しています。
今回、曇先輩はデリート計画の実行ではありません。
なぜか、「あなた達を助ける証拠」を準備している為だからなんですが、あの微笑みを思い出すと何を証拠にしようとしているのか、考えると怖くなる私達です。
まぁ、曇先輩もここになったらちゃんとするので、大丈夫だと思います。
とにかく、私達は止めるだけでいいのですが……なんだか嫌な予感になりそうなのは、私だけでしょうか……。

「あんた今なんつった?」
一色さんが眉を吊り上げて言った。
「もう一度言ったあげる。ウザイの」
一語一語はっきりと言う来瀬さん。
この言葉で頭に血が全員のぼった。
「なんですって!?」
全員の声が重なる。
「あんたそんな事していいと思ってるの?」
一色さんが来瀬さんの胸倉を掴む。
そして、床に叩きつけるように離す。
「もう一度わからせてあげようか?」
「あんたがいらない存在だって!」
南野さんと緑葉さんが言った。それが合図のように全員で嘲笑った。

「こんなやつ……本当にいたのね」
ずっと沈黙を守ってきた雨雲先輩が言った。
「どいつここいつも腐った根性持ってる奴ばっかだぜ」
空雷先輩が歯軋りをさせた。
「来瀬さんだけですよねぇーまともな人間は」
私が言うと、みんなして目線をあの五人組に戻す。
この五人組、どうかしてるけど、その前にこのクラス全体の雰囲気がおかしい……。まず、なんでいじめをこの場で目撃しているので、誰も止めに入らないのか。たぶん、こんなこともう何度もあったんだろう。だって「またか」という顔をみんなしているから。だったら止めに入れるじゃない。突然的に起こったんじゃないんだから。もう一つわからないことがある。それは、なぜこの五人組にここまでして従う必要があるのか……。
「このクラスおかしいよ……」
私がつぶやいた。
「このクラスがおかしいのは、十分わかった。このままじゃぁ、もっとおかしくなるな……」
空雷先輩が言った。
「それじゃぁ、私達が止めに入るしかないわね」
雨雲先輩が言う。
私達は目線を見合わせ、力強く頷いた。