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Re: ——電脳探偵部——  ( No.27 )
日時: 2009/11/14 14:48
名前: 空雲 海 ◆EcQhESR1RM (ID: u7zbXwTu)

その時っ!
バシャァァッ!
「何っ!?」
私達は急いで目線を教室の真ん中に移す。
そこには、来瀬さんが水浸しになっていた……。
五人全員がバケツを持っている……どうやら、水をぶっ掛けられたらしい。

来瀬さんの服はビチョビチョ。髪からは水滴がポタポタと落ちている。
「きゃははははははははははっ!」
一色さんが笑う。
「あんたバカじゃないのっ! まだアンタが要らない存在だってわからないなんてっ! 呆れるわっ! こんな鈍感な人初めてよっ!」

一色さんの後に、南野さんが言う。
「さっさと不登校になって、自殺しちゃえばいいのにっ!」
南野さんの後に、緑葉さんが言う。
「きゃぁー! 何? なんで水浸しになってるの!? もしかして……」
五人全員の声がそろって——。

「おもらしっ!? きゃははははははははははっ!」
……何がおかしいのかさっぱりわからない。
「あんた達だって全然わかってないじゃない……」
来瀬さんがつぶやくように言う。
「『あんたが要らない存在』だって? そんなの一体誰が決めたの? そんなの決める権限だって誰にもない。自分もね。」

そして、ゆっくりと起き上がる。
「『不登校になって、自殺』? そんなの現実から逃れたクズのすることよ……」
口調が変わってる。
「こりゃ、あん時のモードに入ったな……」
空雷先輩が言うと、
「私は自分の存在なんて消えさせないし、消せない。人っていう物は、誰だって同じ価値を持ってて、誰だって尊重されなきゃいけないんだ。それをわかってないって言ってるのよっ! わかる? そんな事言うヤツが自殺する以上のクズなのよ」

「あんたのそーゆー所がムカつくのよっ!」
水理さんが来瀬さんの胸倉を掴む。
「『自分は悪くない。正義を言ってる』みたいな目でこっちを睨みやがってっ! 何が正義だ! 調子に乗ってんじゃねぇーよっ!」
水理さんが手を振り上げるっ!
あぶないっ!

……何も起こらない。
生身と生身がぶつかる音も……生身が生身を叩く音も……。
「海晴ちゃん、目開けていいわよ」
雨雲先輩の声で目を開ける。
「空雷先輩……」
空雷先輩が水理さんの手首を掴み、雨雲先輩が来瀬さんを包み込み保護していた。

「うーん……やっぱ、『女番長』という異名が付いている水理が居たら、そりゃ手も出るか……」
「お前は……っ! 楠 空雷っ!」
「よぉ! 久しぶりだな。水理」
ニヤッと笑う。

「そっちだけ紹介してもあれなんで、こちらも紹介しましょう。入ってきなさいよっ! 海晴ちゃん」
……なんか私だけかっこ悪い登場。
「な、何よあんた達っ!」

一色さんが冷や汗を流しながら言う。
その答えに、雨雲先輩が言った……。
「うーん……そうだな……強いて言えば『通りすがりの生徒』かな?」