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第六話 沈黙の野原 ( No.24 )
日時: 2009/12/05 14:46
名前: 架凛 ◆V3sV8pUxpk (ID: 81HzK4GC)

 「沈黙の野原」
 辺り一面草に囲まれ、虫も動物もいない事から、いつしかそう呼ばれるようになった。
 今、戦場となるであろうこの場所。

 ラファーロ軍はすでに到着し、リーアス軍を待っていた。
 リーアス国の周りには結界がはられて侵入できず、
 リーアス軍を追跡して意図を察し、先回りしてきたのだ。
 
 帝国軍の先頭に立っていたのは二人の青年。一人は黒いパーカーに鎖のついたズボンといういでたち。
 そのズボンには携帯などの電子機器がつめこまれ、髪は黒く藍色の瞳をしている。
 右目には包帯がまかれ、異様な雰囲気をかもしだしだす。

 もう一人はぴんぴんと跳ねたサファイア色の髪を持っていた。
 左目は紫色の眼帯に覆われ、右目は深海を思わせるような青色をしている。

 「まだ来ないのか……?」

 黒い髪の青年が隣に立つ人物にきいた。
 
 「ん?もうすぐだと思うよ〜。だから落ち着きなよ、ケン」

 【黒井ケン】
 それが黒髪の青年の名だ。ヴァロアの人々の名前と少し違うのには理由があるのだが……。
 追々わかることであろう。

 ケンは今にも動きだしそうにそわそわしていた。

 「俺は待つのは苦手なんだよ、キラ」

 【キラ】と呼ばれたのはサファイア色の髪型をした青年、【キラ=ラリアーノ】
 やや低めの身長と顔立ちから、女のように見えるが、れっきとした男である。

 「そんなこと、僕に言われても……ねえ〜」

 そう言ってキラは無邪気に笑う。ケンはそれをちらりと見て先方に目をやった。

 「あ、来た」
 
 ケンが呟いた方向に目を向けると、リーアスの大軍が遠方に小さく見えた。
 風のようなスピードで騎馬を進めている。

 「あ、本当だ。来たね〜」

 キラはそれを見ると呑気に言い、ケンはうずうずしだした。

 「さっさと行こうぜ」
 「そうだね〜」

 ケンはキラの同意を得て、兵士達へと声をかける。

 「ラファーロ軍第二戦闘部隊、出動!!」

 そして兵士達は声をあげ、前進をはじめた。