ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

Re: −殺し屋− ( No.3 )
日時: 2009/12/03 15:29
名前: 雛 ◆XuPIbnFE5E (ID: 6.Riuk1k)

一話:仕事


「ねぇ、ねぇ。殺し屋って知ってる?」

「知ってるーっ。今、話題になってるじゃん」

「インターネットからやるんだよね?」

「うん。でも怖いよねー。ホントに殺されるんだもん」

「最近の事件って、ほとんど殺し屋がやってるし」


街中を通れば、そんな話ばかり。

学校でも同じ。

……五月蝿いなぁ。寝不足なのに。

「おはよ……」

「おっはよー! 愛っ」

教室に入り挨拶をすると、透恋が私に飛び付いてきた。

「何ー? 愛、また寝不足?」

「あはは……。まぁね」

「愛ってば、寝不足になるまで何やってるの?」

「うん、ちょっとね」

言える訳ない。

私が殺し屋なんて。

寝不足なのは、いつもそれが原因だし。

「鈴橋は、殺し屋って知ってるか?」

ほら、来た。

もう聞き飽きたよ。

「……知らない。テレビとか、新聞とか、あんま見ないし」

私はいつも、そう嘘をついて誤魔化している。

納得したのか、琴吹は「そっか」とだけ言って、自席に戻っていった。

「透恋。授業始まっちゃうよ」

「うんっ。じゃね」

透恋もそう言って自席に戻った。

*****

下らない授業も終わり、あっという間に夜になる。

私の仕事は夜が主だ。

パソコンを開き、メールボックスを確認する。

「今日は、一人か。依頼主は……っと」

一件のメール内容は、もちろん殺し屋への依頼だ。

「依頼主、秋田修平……。殺してほしい人は……菊乃雄助」

私は、メールに書かれていた特徴と待ち合わせ場所を読むとパソコンを閉じ、立ち上がる。

仕事着を着て、軽い変装をすると家を出て、近くにある高層ビルの屋上に上がった。

「風よ、私を導きたまえ」

風は、急に風向を変えた。

そう、風と私は依頼主の元へ。

待ち合わせ場所に依頼主は既に立っていた。

「殺し屋・殺愛、此処に見参————」